特集 量から質へ―これからの学びを考える
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【課題整理】

主体的な学習に子どもを導く指導とは?

座談会でも明らかになったように、ここ数年、小学校では基礎・基本の定着に向けた取り組みが学校全体で組織的に進められてきた。その成果が徐々に表れている一方、多くの学校は、新たな課題にも目を向け始めている。基礎・基本を充実させつつも、それをいかに受け身の学習にとどまらせず、主体的な学びにつなげるかだ。そうした課題を踏まえて今後の指導の在り方を考える。

図

Point1
理解度に応じた丁寧な指導の継続

 学習意欲の第1段階は、「できた」という喜びから始まる。「できない」と「わからない」→「つまらない」という思考のサイクルになり、学習意欲そのものをなくしてしまう。
  基礎・基本が定着していない児童には、個別指導やチーム・ティーチングなどで丁寧な指導を行い、小さな課題をクリアするごとに達成感を得られるようにしたい。また、理解の進んだ児童に対しては、発展的な課題に自主的に取り組ませるなどの工夫が必要だ。大切なのは、児童一人ひとりの意欲の芽を摘んでしまうことのないよう、子どもの理解度に応じた指導を継続することだ。
  手厚い指導で子どもたちの学習意欲を伸ばしている、12ページの足立区立亀田小学校の事例を参考にしてほしい。

Point2
家庭の理解と協力を得られる仕組みづくり

 「学力向上」という共通目標の下、学校全体で組織的に取り組む態勢が整い、従来見られがちだった学級間の指導のバラツキをなくす手立ても校内に生まれつつある。多くの学校が次に足並みをそろえたいとしているのが、家庭での教育だ。家庭の理解や協力が得られるかどうかが、児童の学力向上の成否を大きく左右するからだ。特に、家庭環境の違いが大きい地域は、その克服が大きな課題だろう。
  座談会で足立区立鹿浜小学校の水野校長が紹介していたように、三者面談などを通して保護者に働きかけると同時に、「家庭に任せきりにしない」という覚悟も重要だ(8ページ参照)。
  12ページから紹介する足立区立亀田小学校の保護者ボランティアによる宿題プリント添削の取り組みや、17ページから紹介する鹿児島市立田上小学校の「家庭学習のしつけ」も参考にしてほしい。

Point3
「見えにくい学力」を高める授業力

 ドリル学習や反復学習などの効果が、近年の基礎学力定着の背景にはある。しかし、座談会でも指摘されたように、今後は、その基礎学力を「自ら課題を見つける力」「考える力」「判断する力」などの「見えにくい学力」に深化させる指導も併せて求められる。例えば、子どもたちが生活体験に基づいてさまざまな意見を出し合い、学習に結び付けていくような授業を展開する力が必要だ。
  17ページから紹介する鹿児島市立田上小学校の、「しつけ」を土台とした聞き合う関係づくりや、板書を切り口として教師の授業展開力を高める取り組みも参考にしてほしい。

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