学びが深まるIT活用 情報モラルの指導

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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操作技術と情報モラルの両面からIT活用力を育成

 喜茂別小学校の情報教育の目標は、「6年生までに、ローマ字入力で思い通りに文章を作成し、プレゼンテーションができるようになること」だ。その目標に向けて各学年の到達目標を設定し、年間指導計画を立てている。
  情報の授業は、1年生から実施している。パソコン操作等のスキル習得が狙いであり、社会科など教科学習での調べ学習や「総合的な学習の時間(以下、総合学習)」のまとめ学習などでパソコンを活用できるようにしている。
  スキルの習得では、05年度からローマ字を習っていない3年生にもローマ字入力を指導している。文字を思うように打てないと、パソコンを使うことが億劫(おっくう)になり、ますますパソコンを使わなくなってしまう。喜茂別小学校担当のITサポーターの日野由可利さんは、次のように説明する。
  「文字パレットを使ってのひらがな入力に慣れたころには、ローマ字入力に移行します。3年生でもローマ字入力が楽しくできるような工夫をしています」
  ローマ字とカナの対応表(写真1)を作成し、入力時に手元に置いて参照できるようにした。子どもたちはパソコン教室に入ると真っ先に用意する。なくてはならないもののようだ。
写真1
写真1 ITサポーターが作成したローマ字とカナの対応表。3年生の子どもたちは、パソコン教室に入ると真っ先にこれをキーボードの脇に設置する
  喜茂別小学校では、情報モラルについても、3年生から指導している。今回見学した3年生の授業では、「情報モラルNavi」の動画コンテンツの一つを見せ、ウェブサイトで見つけた情報の作成日、信ぴょう性の確認方法を学習した(10ページ実録e授業参照)。この段階では、授業でインターネットを使っていない。子どもたちは動画には高い関心を見せたものの、まとめの説明の文章はまだ理解できていない様子だった。しかし、担任の小野志穂先生がポイントを五つの短い言葉にして説明し直したことで、理解したようだった。
  「実際の操作を通して教えるという方法もありますが、本校では基礎・基本を学んでから実践するようにしています。本校に通う児童の家庭の7割近くにパソコンがあります。家庭にパソコンがある児童は、授業でも使いたくなると思います。しかし、自由に使える環境にあるからこそ、まず基礎・基本を身につけた方がよいと考えました」(加藤校長)
  実際に授業でインターネットを使用するときは、必ずその前に情報モラルに関する指導を行っている。
  「校区には大きな図書館がないので、調べ学習ではインターネットに頼りがちです。活用頻度が高いと、トラブルに巻き込まれやすいというデメリットもあります。そこで、低学年から情報を見極められる力を身につけることが重要と考えています」(渡辺先生)
▼図1 クリックすると拡大します
図1

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