みんなで取り組む小学校英語

埼玉県  所沢市立南小学校

埼玉県 所沢市立南小学校

1874(明治7)年に開校し、130年以上の歴史を持つ伝統校。校区は、所沢駅周辺の商店街から住宅街、「トトロの森」と呼ばれる緑豊かな丘陵地帯まで、多様な環境を持つ。「英語活動」や自校給食などで特色ある教育を進めている。

校長●鎌滝紀和先生

児童数●717名

学級数●22学級

所在地●〒359-1125 埼玉県所沢市南住吉18-29

TEL●04-2922-3039

FAX●04-2922-3224

URL●http://www.tokorozawa
-stm.ed.jp/minami-eh/


●英語活動実施状況

学年、時数●1~2年(年間30時間弱)、3~6年(年間35時間)

指導者●2006年度までは英語専科とAETとのTT(07年度からは学年ごとに英語の教科担任を導入予定)

鎌滝紀和

▲所沢市立南小学校校長

鎌滝紀和
Kamataki Norikazu
紫竹理枝子

▲所沢市立南小学校

紫竹理枝子
Shichiku Rieko
国際理解教育主任。
*本文中のプロフィールはすべて取材時(07年3月)のものです
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【事例4】保護者や地域と連携した英語活動

保護者ボランティアが授業をサポート

埼玉県 所沢市立南小学校

楽しさのあまりはしゃぎすぎてしまう子どももいる英語活動で、どのようにして授業に集中させるのか……。南小学校は、保護者ボランティアと連携し、一人ひとりに目が行き届く英語活動を工夫している。

3~6名のボランティアが1学級の児童をフォロー

 英語活動担当の紫竹(しちく)理枝子先生とAET(英語指導助手)、ゲストティーチャー、学級担任、6人の保護者ボランティア……。南小学校の1年生のこの日の「英語活動」の教室には、総勢10人の大人がいた。声の小さい児童に「大きな声で言おうね」と声をかけたり、戸惑っている児童に手を差し伸べたりと、ボランティアが子どもの動きに目を配り、授業をサポートしていく(写真1・2)。
  「英語活動は楽しさを大切にしているため、うきうきしすぎてしまう子どももいます。ただ、英語で注意すると、英語を嫌いになるおそれがあるので、子どもが授業に集中できるよう、ボランティアに協力してもらうことにしました。授業がわからなくてしょんぼりしている子どもに状況を伝えて『大丈夫だよ』と励ますのも大切な役割です」(紫竹先生)
  ボランティアの協力は2006年度から始まり、1~3年生のすべての英語活動に参加してもらっている。5、6人のグループでゲームを行うことが多い英語活動では、各グループに1人の大人がつくことで子どもに目が行き届き、進行がスムーズになるのも大きなメリット。カードなどの道具をよく使うため、授業前の準備に協力してもらうこともある。
  ボランティアに登録する保護者は総勢15人。PTA関連の英会話講座に参加していた保護者に、紫竹先生が声をかけて集まってもらった。帰国子女だったり留学経験があったりと英語に堪能(たんのう)な人もいるが、「英語ができることを前提にはしていない」と紫竹先生は話す。
  「日本語でもかまわないので、どんどん子どもに声をかけてあげてください、とお願いしています。保護者の中には、英語が得意だったり、趣味で英会話を習っていたりする方がいます。『ネイティブの先生と気軽に話せますよ』と呼びかければ、本校に限らず参加してくれる保護者は多いのではないでしょうか」
  ある保護者は「英語は得意ではありませんが、子どもと一緒に学びたいと思って参加しました」と、肩の力を抜いて楽しんでいた。
  ボランティアの数は、日によって3~6人とさまざま。都合のつく日だけでよいことにし、気軽に来てもらえるようにしている。
  「英語活動以外でも、図書室の運営やクラブ活動などで保護者に協力してもらっています。学校のことをもっと知ってもらうためにも、保護者や地域の方々にどんどん学校に来てほしいと考えています」(鎌滝紀和校長)
  数年前、近隣の大学の教授と連携して英語活動を研究したのをきっかけに、今は大学生もサポートに来ている。「英語活動の教室環境」を卒論のテーマにする大学生から、他校の先進的な英語活動のビデオを見せてもらったりしながら、新たな手法を取り入れている。
写真1
写真1 1年生の英語活動の様子。紫竹先生とAETの2人による進行の下、教室を取り囲むように立っている保護者ボランティアが児童一人ひとりをフォローしていく
写真2
写真2 英単語をボソボソと口ごもっていた児童に保護者ボランティアが「それでいいのよ。大きな声で言ってごらん」と、児童の背中を軽く押して発言を促していた

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