教育現場の挑戦 約30年の「総合学習」の研究を教科学習の指導法に生かす

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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学習意欲を育む「総合学習」

  総合学習には、教科学習に取り組む意欲を高める、良い効果もあると中嶋校長は続ける。
  「総合学習は知識量などで子どもを競わせるわけではないので、だれでも主役になれます。算数や国語がわからずに、やる気を削がれてしまった子どもも、総合学習によって学習意欲を取り戻せるのです」
  例えば、5年生の総合学習で、鶏卵を取るために、鶏を飼おうと提案した子どもがいた。子どもは自ら地域の科学館に電話をしたり、インターネットで調べたりして、衛生上安全な入手方法を見つけ出し、教師を説得した。飼い始めたあとも、「卵を早く産ませるには日照時間を増やした方がいい」と、ライトの設置を提案したこともあったという。
  更に、自分たちが農業体験で作った大根などが余っているのを見ると、「飢餓に苦しんでいる人に寄付できたらいい」と、NPO団体について調べ始めた子どももいた。3月には、これらの活動の成果を発表するフォーラムを開催。子どもたちは1年間で学んだ食の大切さを伝えようと、その準備にも熱心に取り組んだ(写真1)。中嶋校長は力を込めて語る。
  「子どもは、活動が進むにつれて、課題に対してどんどん前向きになっていきます。興味を持ったことを追究する意欲の強さには、教師の側が驚かされるほどです」
写真1
写真1 食をテーマとした総合学習の成果を発表するため、フォーラムの準備を進める5年生。グループに分かれて、「嫌いな食べ物を好きにする方法」「薬になる食事」といったテーマについて調べていた

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