地方分権時代の教育行政 宮崎県日南市
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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客観的なデータに現場の実感を重ね合わせる

 学校独自でもさまざまな活動に取り組む吾田小学校。そうした中で、日南市が市全体の事業として展開している学力向上拠点形成事業「振徳プラン」は、吾田小学校にとってどのような意味を持つのだろうか。
  「まず大きいのが、『総合学力調査』の結果分析と指導改善策の作成を、学校単位ではなく、市の教育研究所が担うということです。教育研究所が指導改善の具体的な方法を提案して、それを各校が参考にします。07年2月に研究所の発表会を行いましたので、07年度には各校が改善に取り組み始めます。まだ始まったばかりで具体的な成果は見えていませんが、日南市の学校全体の指導レベルの向上が期待できます。また、本校でも『総合学力調査』によって教科学力と生活意識調査の分析データが入手できることで、「学びの基礎力」や「生きる力」に着目した効果的な取り組みにつなげられると考えています」(岡村教頭)
  もちろん、ひと口に「学力向上」といっても、抱える課題は学校によって違う。どのような取り組みが効果的なのかは、学校によって異なるはずだ。
  そこで、日南市は「振徳プラン」で、図1のようにA~Gの研究課題を学校に示している。この中から、各校が自校の現状や特色に合わせて、重点的に取り組むテーマを決めることができる。つまり、学力向上のためのガイドラインや指導改善案は教育委員会や教育研究所から示され、学校はこれを参考にしながら、各校の実情に合わせて、具体的な取り組み内容を決めていくというわけだ。
  「『総合学力調査』では、子どもの学力の現状についての詳しい分析結果が出されます。しかし、現場の教師は、市から示されるデータだけに頼っていてはいけません。1時間の授業の中でも『めあて』を持って子どもとかかわり、一人ひとりの子どもの到達度を実感として把握する。教師の実感を客観的な調査結果に重ね合わせながら、学校としての指導方法や指導体制の在り方を考えていく。こうすることで、学校の実情に合った学力向上策を立てられると思います」

図1

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