日南市教育研究所が行った小6算数の提案授業の話をうかがった。
授業は、教育研究所研究員でもある吾田小学校の黒田優子先生が担当した。黒田先生ら研究員は、分数の掛け算の単元で「理解が不十分な児童に対して、どのような手立てを行うのが効果的か」をテーマに、授業を組み立てた。
まず着手したのは、教科書の内容の再検討だ。教科書では、分数の掛け算と割り算が並行して扱われていた。これが子どもの理解の混乱を招くと考えた研究員は、小数の単元と同じようにまず掛け算を指導し、次に割り算に取り組むというように、学習の順序を変えた。
授業は、一人ひとりの子どもに目が行き届きやすいように、チームティーチングで行うことにした。クラスを2つに分け、黒田先生が「割合を表す分数を学ぶグループ」、そして岡村教頭が「時間を表す分数を学ぶグループ」を担当した。
「チームティーチングでは、新たに授業に入る教師(T2)に子どもの実態を早く正確に把握してもらうことが重要です。そこで提案授業では、子どもに『自己評価カード』を渡し、解けた問題と解けない問題を記入させました。T2の先生はそのカードを見れば、子どもの学習到達度がすぐわかります」(黒田先生)
授業中に取り組むプリントも工夫をしている(写真1)。
今回の授業では、C層(下位層)(P.2参照)の児童に効果的に指導するための具体的な提案が随所にちりばめられていた。このような一歩先取りした内容が教育研究所の提案授業の特徴だ。 |