つながる「保護者」と「学校」
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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親になるための学習機会が少ない現代社会

  母親にしっかり守られた子どもでも、やがてはそこから出て行きます。しかし、外の世界は、競争社会だ、グローバル社会だと言われる、複雑で厳しい環境です。単純な人間関係の中で育ち、多様さや複雑さへの対応力に乏しい子どもが、そうした環境に順応するのは容易ではありません。引きこもりが増えている問題、犯罪に手を染める子どもの多くが環境の変化への弱さを指摘されている事実は、こうした状況と無関係ではないでしょう。
  もちろん、母親も変化しています。自分の子どもにしか関心がなく、運動会などの行事や参観日などで、ほかの子には目もくれない。それが学校への過度な要望として表れることもあります。特に今の親の世代は、母子の単純構造が一般化してから2代目であり、「我が子主義」の価値観は更に強固になっています。
  しかし、保護者を責めても仕方がありません。その前に、今の日本では親になるための教育や学習の機会が皆無に等しいことにも目を向ける必要があります。「親になる前の経験や学習」を調査した結果、日本の父親はほとんど何の準備もせずに親になるケースが多いとわかっています。また、母親も、育児本やテレビ、地域講座などで間接的に子育てを学ぶ機会は多いのですが、実際に子どもに接する経験はほとんどありません。海外のようにベビーシッターの制度が定着しておらず、また近所に子どもが少ないという状況があるからでしょう。突然、母親になって戸惑うのは、当然といえます。


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