「全国学力・学習状況調査」やPISAでは、思考力・判断力・表現力などの課題が明らかになった。そして、こうした力を育てる体験や表現活動を取り入れた授業が、相対的に重視されていない傾向にあることが「学習指導基本調査」でわかった。
教師が授業に「多く取り入れよう」と心がける学習内容に変化が見られる。顕著なのは、「体験すること」「表現活動」「グループ活動」「自分で調べること」などを取り入れた授業が減り、「教科書にそった授業」が増えていることだ(図1)。「総合的な学習の時間」への考えを聞くと、「なくしてもよい」「時数を削減した方がよい」と、消極的な回答の合計が増加し、7割近くに達した(図2)。こうした意識の変化は、指導の重点が体験的な学習活動から教科書にそった基礎・基本学習へと移っていることを示唆している。 いわゆる「ゆとり教育」の時期に比べ、相対的には体験的な活動と教科書に基づく学習とのバランスが取れたという考え方もある。だが、耳塚教授は体験活動の行き過ぎた軽視には懸念を示す。 「体験や表現活動、議論などは、知識を活用するのに必要な力。『総合的な学習の時間』をもっと上手に使って培ってほしい」
出典:「第4回学習指導基本調査」(ベネッセ教育研究開発センター)