データで読み解く新学習指導要領
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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PISA型学力を意識した新学習指導要領

 新学習指導要領では、PISAを代表とする国際的な学力調査の結果を踏まえた「国際水準への復帰」が意識されているのは間違いない。特に知識・技能の「習得」とその「活用」の領域では、PISA型学力の育成が主眼の1つになっていると考えられる。
  ところが、教師にPISAを知っているかを聞いたところ、図3の通り、その認知度(「よく+まあ」知っている)は43.2%にとどまった。更に、認知している教師の9割以上はPISA型学力を踏まえた指導が必要と感じているものの、実際に取り入れていると回答した教師は7割弱だった。
  こうした状況に対し、耳塚教授は、「まずは教師自身がPISAの問題や全国学力調査のB問題を解き、今、子どもたちに求められている能力を理解してほしい」と説く。

図3

出典:「第4回学習指導基本調査」(ベネッセ教育研究開発センター)

Pickup 中央教育審議会「審議のまとめ」資料
思考力・判断力・表現力等を育むための学習活動の分類
 中教審では、思考力・判断力・表現力等を育てる学習活動について、次のような分類をしている。

 

●「審議のまとめ」資料より(07年11月時点)
(1)体験から感じ取ったことを表現する

・日常生活や体験的な学習活動の中で感じ取ったことを言葉や歌、絵、身体などを用いて表現する

(2)事実を正確に理解し伝達する

・身近な動植物の観察や地域の公共施設等の見学の結果を記述・報告する

(3)概念・法則・意図などを解釈し、説明したり活用したりする

・需要、供給などの概念で価格の変動をとらえて生産活動や消費活動に生かす
  ・衣食住や健康・安全に関する知識を活用して自分の生活を管理する

(4)情報を分析・評価し、論述する

・学習や生活上の課題について、事柄を比較する、分類する、関連付けるなど考えるための技法を活用し、課題を整理する
  ・文章や資料を読んだ上で、自分の知識や経験に照らし合わせて、自分なりの考えをまとめて、A4・1枚(1000字程度)といった所与の条件の中で表現する
  ・自然事象や社会的事象に関する様々な情報や意見をグラフや図表などから読み取ったり、これらを用いて分かりやすく表現したりする
  ・自国や他国の歴史・文化・社会などについて調べ、分析したことを論述する

(5)課題について、構想を立て実践し、評価・改善する

・理科の調査研究において、仮説を立てて、観察・実験を行い、その結果を整理し、考察し、まとめ、表現したり改善したりする
  ・芸術表現やものづくり等において、構想を練り、創作活動を行い、その結果を評価し、工夫・改善する

(6)互いの考えを伝え合い、自らの考えや集団の考えを発展させる

・予想や仮説の検証方法を考察する場面で、予想や仮説と検証方法を討論しながら考えを深め合う
  ・将来の予測に関する問題などにおいて、問答やディベートの形式を用いて議論を深め、より高次の解決策に至る経験をさせる

 


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