科学技術の世界的な競争の激化により、理数教育の質・量の両面での充実は緊急の課題だ。新学習指導要領では理数教科の指導内容を充実させ、授業時数も増加する。言語活動の充実の一環として、理数教育は論理や思考を育成する重要な役割も果たす。
算数・数学や理科については、授業時数を増加し、以下の活動などを行う時間を十分確保する
・内容の系統性などの教育内容の見直し、
・外部人材活用などの教育条件の整備、が挙げられている
教育現場では、今後、習得型の指導に加えて活用や探求型の指導が求められるわけですが、次のようなことに取り組んでいくとよいと思います。 1つは、先生方の意識を、「子どもに教える」ことから「子どもに問う」ことに変えていくこと。「なぜそうなるか」(根拠)、「いつでもできるのか」(一般性)、「他の場合も同じように考えられるのか」(整合性)、「似ているところはあるか」(共通性)、「違うところはあるか」(相違性)、「もっと簡単にできるか」(単純化)など、数学的思考と関わった問いを投げかけていくのです。すると、子どもたちも「こうやって物事を見ていけばいいんだ」「こうやって考えればいいんだ」と、先生の問いかけから思考のしかたを獲得していくことができます。 2つめは、書く活動を充実させること。黒板に結果だけでなく思考過程もきちんと記述するようにして、子どもたちのノートを充実させ、読みたくなるノートをつくります。そして、授業が終わったあとに学習の感想を書かせるようにします。学習感想については、私もいくつかの小学校や中学校で実践していただいているのですが、継続していると、書かれる内容に以下の4つの様相が表れるようになります。
(1)自分の気持ちについての内容(楽しかった、またがんばりたいなど) (2)授業の内容(今日は授業で何をやったかなど) (3)他者を意識した内容(友だちの考えの内容や、それについての意見など) (4)自己反省的な内容(自分の反省点や、これから取り組みたいことなど)
繰り返し書くことで、単に自分の感想を書いていた段階から、授業内容に目を向けたり、他者に目を向けたり、自分自身を振り返る表現が出てきます。そうしたことを手がかりに指導をしていくことで、子どもたちの思考力・表現力を伸ばすことができるのです。
●『VIEW21』小学版のバックナンバーもご参考に! ・05年9月号「『考える力』を引き出す授業~理数教科からのアプローチ~」