データで読み解く新学習指導要領
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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◎言語活動の充実

 「言語活動の充実」は、今回の学習指導要領改訂において、各教科・領域を貫く重要な視点となる。国語科において的確に理解し、論理的に思考し表現する能力、互いの立場や考えを尊重して伝え合う能力を養い、その能力を基本に、言語活動を各教科の指導に組み込むのが基本的な流れだ。

中教審「審議のまとめ」(抜粋)07年11月時点
各教科・領域を通して言語活動を展開
(1)知的活動の基盤
  • 理科、社会等 観察・実験や社会見学のレポートにおいて、視点を明確にして、観察したり見学したりした事象の差異点や共通点をとらえて記録・報告する
  • 算数・数学、理科等 比較や分類、関連付けといった考えるための技法、帰納的な考え方や演繹的な考え方などを活用して説明する
(2)コミュニケーションや感性・情緒の基盤
  • 音楽、図画工作、美術、体育等 体験から感じ取ったことを言葉や歌、絵、身体などを使って表現する
  • 道徳、特別活動等 討論・討議などにより意見の異なる人を説得したり、協同的に議論して集団としての意見をまとめたりする

■研究者のアドバイス(※)

高木展郎(のぶお)先生
横浜国立大教授、同大教育人間科学部附属横浜中学校校長

言語活動の充実で、生涯を通じて学ぶ力を育成する

 学力調査のB問題で問われた「活用」の背景にはPISA(OECD生徒の学習到達度調査)の学力観が影響を与えていることは事実です。しかし、PISAが提起している「読解力」は、これまでの日本の国語教育で言われてきた「読解力」とは異なりますので、誤解を生みやすいという面があります。また、PISAの枠組みだけでは、学校の授業にすぐにむすびつけることは難しいと考えられます。
  私は「言語活動」を充実させることだと言い換えることで、学校の先生にずいぶん理解されやすくなるのではないかと考えています。知識を活用する力とは、思考力や判断力、表現力のことです。例えば、文章を読んで考えるときには思考力が必要とされます。判断力も同様で、文章を読んで自分だったらどういうふうに考えるか、他者の考えやものの見方と比較して、自分はどう判断するかといった場面と関係があります。更に、自分の考えや思いを相手に伝えるためには表現力が大切です。このように考えると、「PISA型読解力」や「活用」は、「言語活動」の中で発揮され、育まれるものだということがわかります。
(中略)
  これから取り組むべきこと、それは毎日の授業を変えることにつきます。すでに優れた授業は始まっています。そうした実践を参考にすべきです。私が関わっている学校では、「聞いて、考えて、つなげる」授業をめざしています。これは「PISA型読解力」が提起している学習のプロセスに近いと思います。「聞いて、考えて、つなげる」の方が授業での子どもの活動がイメージしやすいのではないでしょうか。「教室」というコミュニティの中で、友だちと関わりながら「考えていく」授業を展開するのです。人の話を聞いて、自分はどう思い、それをどう相手に伝えるかという、生涯欠かせない学力を育成するのです。
※詳しくは特集ページをご覧ください。

●『VIEW21』小学版のバックナンバーもご参考に!
06年9月号「コミュニケーションが生まれる授業づくり」
05年4月号「教室を超えて生きる国語力」


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