HOP! STEP! 小学校英語! 文部科学省Q&A

菅 正隆

▲文部科学省
初等中等教育局教科調査官

菅 正隆

Kan Masataka


*本文中のプロフィールは取材時(08年3月)のものです

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【文部科学省Q&A】

コミュニケーションの楽しさと、英語への興味を引き出す場に

2011年度から5・6年生で週1回の外国語活動が必修化されることに対して、
学校現場からは、英語を教えることへの戸惑いや不安が多く聞かれる。
英語活動はどのように進められ、支援体制はどのようになるのだろうか。
文部科学省初等中等教育局教育課程課の菅正隆教科調査官に聞いた。

文部科学省初等中等教育局教科調査官 菅 正隆

Q 小学校における外国語活動必修化の理由は何でしょうか。

 主に3つ挙げられます。1つめは、現在、各校独自に行われている小学校での外国語活動のバラツキを是正するためです。全国の小学校の9割以上が主に「総合的な学習の時間」(以下、総合学習)を使って外国語活動を行っていますが、成果がある一方、内容や頻度にバラツキが生じていたことは否めません。今回の必修化には、最低基準を設けるという意味があります。
  2つめは、子どもの興味・関心や適応力が高い段階から外国語活動を導入し、より高い効果を上げたいという考えです。
  3つめは、グローバル化への対応です。諸外国では、初等教育から英語教育が行われています。中国では2005年から小学3年生以上で、韓国では97年から小学3年生以上で英語教育が始まっています。母国語にこだわるフランスでさえ、07年より外国語1か国語が必修化され、うち9割が英語を選択しています。日本だけがこの流れから外れるわけにはいきません。

Q 小学校での英語活動に期待することは何でしょうか。

 英語の運用能力を伸ばすのは、中学校でよいと考えています。小学校では、その下地となる興味・関心を伸ばしてほしいと思います。
  今の子どもは、お金を入れてボタンを押すだけで物が買えるような、言葉をあまり使わずに済む社会に生きています。言葉が出てこないために手が先に出てしまう、言葉の力を知らずに人を傷つけてしまうといったことが社会問題化している今だからこそ、コミュニケーションの楽しさを子どもに体験させてほしいのです。人とのコミュニケーションを通して自分の気持ちを伝えられる子どもを育てていただければ、外国語活動は成功と言ってよいでしょう。先生方には自信を持って取り組んでいただきたいと思います。

Q 外国語活動の導入までのスケジュールはどうなっていますか。

 10年度までは移行期間と捉え、まず各校で英語活動を始めてもらうことを目的としています。英語教育の専門家でなくても無理なく指導できるよう、08年3月末までに、児童向け教材「英語ノート(仮称)」(注1)とそれに付随するCD、電子黒板、教員向けマニュアル、教員研修のガイドブックや教員向けクラスルームイングリッシュ(教師が教室で日常的に使う英語表現)のCDなどを完成させました。
  08年度には、これらの「英語ノート」などの教材、教員向けガイドブックなどを発行します。これらは、まず拠点校550校に配付し、活用した意見を集めて改訂し、同年度中には全小学校に配付しますので、大いに活用してほしいと思います。

 

注1 文部科学省による開発。5年生・6年生それぞれ9レッスン。1レッスン=4時間構成で、 いずれかのレッスンを1時間減らせば35時間となるカリキュラムが土台となっている


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