現場の先生方からよく聞く声として、「時間数の割に、教える内容が多すぎる」というものがあります。確かに新しい学習指導要領で授業時数は増加しますが、教える内容も増えるので、忙しさは現状と変わらないかもしれません。その上、算数的活動や言語活動などに力を入れなければいけませんから、「一体どうなるのやら」と不安に感じている先生が少なからずいると思います。
しかし、算数的活動や活用が大切だからといって、授業のたびに、活動や活用をする場面が必要になるわけではありません。授業によっては、学んだことをドリル学習などによってしっかり習得させる時間も必要でしょう。持ち時間の中で、いかにバランスを取るかが成功の鍵となります。
そのためには、長期的な見通しを持ち、授業計画を立てることが大切になります。「この時間はスパイラルを意識しよう」「この時間は算数的活動を重視しよう」「この時間は公式を確実に使いこなせるようにしよう」というように、全体の見通しの中で、ねらいを持ってそれぞれの活動を位置づけることが求められるのです。
特に、スパイラルについては、6年間を見通す力が重要になります。前の学年までで子どもが学んできた内容や学び方を、教科書を読み直すことなどによって確認しなくてはなりません。できれば上級学年の教科書も調べて、上の学年にどうつなぐのかを意識しながら授業を展開したいものです。つまり、6年間の学びの中での、その単元の位置づけを把握しなくてはならないのです。
教師に算数的活動や言語活動を取り入れた授業を展開できる力や、6年間を見通した指導をする力を持ってもらうためには、教師一人ひとりの努力に委ねるだけではなく、学校全体の研修体制を整備することが重要になります。学校の中に算数科が専門の教師がいて、その教師がほかの教師に授業の進め方についてのアドバイスをする。あるいは、公開授業を数多く設定するといった取り組みが不可欠です。そうした校内の学び合いの機会を、是非、学校の中に根付かせていってほしいと思います。
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