注目すべき点は、これまで低学年で扱っていなかった数量関係の領域に、「加法、減法の場面の式での読み、書き」(1年生)や、「加・減の相互関係や乗法の場面の式での読み、書き」(2年生)などが加わることです。
加法の「書き」は、例えば「左のかごにみかんが3つ、右のかごにみかんが5つあります」というとき、それを「3+5」と式に書き表すことです。また、加法の「読み」は、「3+5」が何を意味するのか、つまり「3つのみかんと5つのみかんが一緒にある」ことを指していると読むことです。
加法には「あわせていくつ(合併)」と「増えるといくつ(増加)」があります。「3つと4つのおはじきををあわせたら7つ」は合併。「卵が3個あります。新しく4個買ったら7個になりました」は増加です。
減法には「残りはいくつ(求残)」と「差はいくつ(求差)」があります。「卵が7個あって、そのうち4個食べました。残りはいくつ?」が残りを求めるもの。「子どもが7人います。男子は4人で、女子は3人です。男子は女子より何人多い?」が差を求めるものです。
加法と減法の持つ意味を子どもに理解させるためには、式を身のまわりにある数量に置き換えたり(読み)、逆に身のまわりにある数量を式に表したり(書き)して、具体と抽象の行き来を数多くさせることが大事です(下図)。これまでも「具体を抽象化すること」を授業に取り入れてきた先生はいると思いますが、「抽象化されたものを具体に戻すこと」はあまり行われてきませんでした。これをしっかり授業に取り入れるというのが、低学年で数量関係を扱うことになったねらいです。
「ものの個数の絵や図での読み、書き」(1年生)や、「簡単な表やグラフの読み、書き」(2年生)も基本的なねらいは「加法、減法の読み、書き」と同じです。身のまわりにある数量を絵や図、表やグラフにする、絵や図、表やグラフを身のまわりにある数量に置き換えるといった活動を通して理解を深めます。
1年生では「面積、体積の直接比較」が新たに入ります。これは、ハンカチの大きさを比べたり、コップに入る水の量を比べたりするもの。面積や体積の単位や求め方を学ぶための下地づくりと考えればよいでしょう。
|