低学年からの学びと指導 体験を生活科の軸に
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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 生活科の実践に目を向けると、指導で大きな位置を占める体験学習などの手法は、近年、多く取り入れられているようだ(図3)。一方で、「教材準備の時間が十分にとれない」ことを9割以上の教師が悩みとして感じているというデータがある(図4)。忙しい日々の業務の中で、体験型の授業を準備することは決してたやすいことではない。
 生活科導入直後には、生活科の実践について、「準備がひと苦労」「担任の負担が多すぎる」「学校での指導にはある程度の限界があるように思われる。家庭での生活科が親の意識で高められるといい」「どれだけそこから学んでくれたのかはわからないので不安」などの声が挙がっている(注1)。

図3
*複数回答。この設問は、3~6年生担任の教師は「国語」「社会」「算数」「理科」、1~2年生担任の教師は「国語」「算数」「生活」の教科すべてを担当している教師のみの回答で算出している。ここでの数値は、「国語」「算数」は1~6年生担任の1,478人、「社会」「理科」は3~6年生担任の896人、「生活」は1~2年生担任の582人を母数として算出している

「教科の授業において、次のような方法を用いていますか」という問いで、教師が方法ごとに教科(複数可)を選んだデータである。生活科では、「体験学習」「フィールドでの学習」は5教科の中でトップであり、体験の手法が多く取り入れられていることがわかる。ただ、文部科学省は、学習指導要領改訂にあたり「体験だけに終わらせない」、「体験を通して得られた気付きを質的に高める」指導を今後の課題として指摘している
図4
「次のような悩みをどれくらい感じていますか」という問いに対し、「とてもそう思う」と「まあそう思う」の割合が高かった上位の項目である。これによると、9割の教師が「教材準備の時間が十分にとれない」ことを悩みとして感じていることがわかる。また、事務処理や残業に負担を感じている教師も多い。準備時間が不足している中、体験学習をどう充実させていくかが課題だ

 今回の学習指導要領改訂にあたっては、「学習活動が体験だけで終わっていること」、「活動や体験を通して得られた気付きを質的に高める指導が十分に行われていないこと」などが、研究指定校の調査などから見えた課題として挙げられている。そうしたことを改善すると共に、新しい内容として「身近な人々と伝え会う活動」も盛り込まれた(図5)。
 多忙な中で、体験学習や伝え合う活動を取り入れ、同時に、体験や活動を効果的に子どもの学びへとつなげ、広げていくための授業のポイントはどのようなものだろうか。次ページの東京都練馬区立石神井小学校の実践から、そのヒントを探る。

図5
注1) 国立教育研究所(当時)「小学校における体験的活動の継続的・発展的展開に関するカリキュラム開発の基礎的研究」(平成6年3月)より。調査時期は1993年で、調査方法は学校長宛送付の自記式回答。調査対象は、小学校の中で生活科実践を行っている教師計1,350人。内訳は89年~92年までの間の文部省(当時)指定校108校中の375人と全国無作為抽出392校中の976人。ここに挙げたものは、自由記述式の回答からの抜粋
●図3、4出典
ベネッセ教育研究開発センター「第4回学習指導基本調査
◎調査方法
郵送法による質問紙調査
◎調査時期
2007年8~9月
◎調査対象
小学校の教師調査については全国の公立小学校の教師(学級担任のみ)1,872人

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