生活科は子どもの個性を生かした学びを行うのに適した教科だ。その利点を最大限に引き出すには、個々の子どもの感じ方や考え方の違いを見逃さず、それぞれの良さを伸ばしていく必要がある。しかし、根本先生は、「生活科では一人ひとりの子どもがそれぞれの思いで動くため、担任1人で指導するのには限界がある」と、その難しさを指摘する。
そこで同校では、保護者の協力を得ることを重視している。例えば、モルモットの飼育では、土・日は当番制にして保護者が子どもと一緒に来校し世話をする。校外を探検する「この町大すき」では、各グループに数名の保護者が同行し、安全を確保すると共に、子ども一人ひとりの様子を見る。活動後には、休憩所を設けて、保護者から子どもの様子を聞き、所定の用紙に子どもの良かったことや気になったことなどを記入してもらっている。
「『Aくんは率先してお礼を言った』『ほかの子の面倒を見ていた』など、多くの保護者が細かくぎっしり書いています。子どもが成長していく姿を間近に見ることで、保護者の生活科への理解も深まっています」(根本先生)
保護者にはできるだけ自分の子どもが属していないグループへの同行も呼びかけている。
「すべての保護者が参加するわけではないからです。自分の子ども以外の子どもに目を向けることは、保護者自身の成長につながるとも考えています」(根本先生)
2007年度、「この町大すき」には児童約90名に対して80名以上の保護者が参加した。保護者の積極的な協力を引き出すために、根本先生は保護者会や学年便りを通して生活科の意義を伝えると共に、日頃の学習においても家庭との連携ができるような指導をしている。
「例えば、朝顔を育てる学習では、通常、つるが出てきたら支柱を使うことを教えます。しかし、『どうしたらよいか、家の人に聞いてみましょう』と働きかけてみます。そうして、花が咲いたら『子どもの頑張りを褒めてあげてください』と書いたプリントを保護者に配付するなど、さまざまな場面で家庭との連携を心がけるのです」(根本先生)
低学年の保護者には、子どもとかかわりたいという気持ちが強い。教師の働きかけによってその気持ちを行動に結び付けることが、保護者とのスムーズな連携の秘訣だという。
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