地方分権時代の教育行政 神奈川県横浜市
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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問われるのは指導主事のコーディネート力

 市教委は、横浜版要領を機能させるための周知・広報活動や研修にも力を注ぐ。
 「ただ配るだけでは、毎日の指導に忙しい先生方に活用されにくい。横浜版要領をつくること自体が目的ではありませんから、横浜版要領に基づいた授業をつくっていくための支援に最も力を注いでいます」(齊藤一弥主任指導主事)
 08年度には全校の校長をはじめとする管理職を対象に、全市や各区での研修を開催。学校単位での研修会に指導主事を派遣し、現場の教師への浸透を図る。
 ここで指導主事の果たす役割は大きい。そのため、同市の指導主事106人が一堂に会する「全体指導主事会」を週1回開き、効果的な支援・伝達方法を探ると共に、ノウハウを共有していく。
 「横浜版要領の内容を み砕いてわかりやすく伝えるだけでは、指導主事としての役割は十分ではありません。その理念を具体的に授業にどのように反映させていくのかを、授業研究や研修の場で身をもって伝えてほしい。授業づくり講座などをコーディネートして、具体的な授業のイメージを教師に伝えることこそが、指導主事の本務なのです」(齊藤主任指導主事)
 「教科等編」は、冊子だけでなく、パソコン等での編集が可能なデジタルデータでも配付する予定だ。各学校の指導に合わせて学習指導要領をアレンジするときに、書類等を簡単に作成できるようにしておくことが、現場での作業量軽減にもつながる。
 「横浜版要領はあくまでも基本です。各学校・各教師が工夫して授業をつくれるようになってほしいと考えています」と、服部課長は思いを込めて話す。
 横浜版要領の浸透を図るため、市教委は保護者をはじめ市民に直接伝えていく場を設けることも検討している。
 「市PTA連絡協議会の研修に出向き、横浜版要領の説明をしたいと考えています。既に市民から『横浜版要領を見たい』との問い合わせがありました。市民に市の教育施策への関心を向けてもらえることは嬉しいことです。現在では、市のホームページからPDFファイルでダウンロードできるようにしています」(服部課長)


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