広島県尾道市立高見小学校
School Data 2006年、理科や生活科の時間を通し思考力や表現力を育てる研究を開始し、2007年度より尾道市小学校理科教育パイロット校に指定される。学校は穏やかな瀬戸内海に面し、6年生の「総合的な学習の時間」では約700メートル沖に浮かぶ無人島にいかだで上陸して探検する体験学習を行う。
校長◎河野(こうの)真由美先生 児童数◎135名 学級数◎8学級(うち特別支援学級2) 所在地◎ 〒722-0073 広島県尾道市向島町2116-3 TEL◎0848-44-0983 URL◎http://www. onomichi.ed.jp/takami-e/index.htm 研究大会日程◎2008年11月19日(水) ※詳細は同校サイトに掲載
西浦 武
Nishiura Takeshi
研究主任、6学年担任
子どもの科学的なものの見方や考え方を深めるために、観察・実験の結果を整理し、考察、表現する活動は、新学習指導要領でも重視されている。 こうした力を付けるために、高見小学校では、「書き方モデル」という思考の型を教え、発達段階に応じて思考力や表現力を高めていく指導を行っている。
「実験の結果を踏まえて考察を書きましょう」 教師の言葉を受けて、子どもたちは慣れた様子で一斉に鉛筆を走らせた。 この日は6年生の単元「生物とかんきょう」の授業で、動物と植物が空気を通してかかわり合っていることを考えさせるのが目標だ。前の授業では、インゲンが、酸素ではなく二酸化炭素を吐き出すことを実験で確かめた。 子どもは、各自がノートの巻末に貼った「書き方モデル」(図1)を見ながら考察を書き進めていく。その間、教師は教室を回り、「黒板を見て全体の流れを振り返ってごらん」 「実験方法はやり方をすべて書くのではなく、ポイントを書きましょう」など、適宜、子どもに声をかけた。 10分後、教師が既に書き上げた何人かの子どもの考察を読み上げると、考えあぐねていた子どもは、「そう書けばいいのか」という表情で、再びノートに向かい始めた。最後に数人が考察を発表し、授業は終了した(図2)。授業後、教師がノートを集め、考察への評価やアドバイスを書いて、次の授業までに返す。