高見小学校が子どもの思考力の育成を目指し、広島大大学院教授の角屋(かどや)重樹先生(理科教育)の指導の下、生活科および理科に「書き方モデル」を導入したのは、2006年のことだ。書き方モデルとは、実験や観察の考察を書く上でのひな形だ。「わたしは~という予想をしました。理由は~です」「他のグループと結果を比べると、~(同じ・ちがうなど)でした」といった文例に内容をあてはめることにより、考察が完成する仕組みになっている。研究主任の西浦武先生は、次のように説明する。
「まずは、文例の空欄にどんな言葉を入れるかを繰り返し考えることにより、思考の型が身に付いていきます。最大のポイントは、このモデルが学習課題を把握させ、結果を予想し、実験・観察の条件をそろえ、結果を導いて考察するといった問題解決の流れに沿っていること。この流れを押さえることで、問題解決に必要な『思考力』が育っていきます」
08年度からは、思考力と共に表現力の育成も重視する。これまでの実践で、読みやすさを考えずに長い文章を書く子どもが多いと気づいたからだ。モデルを改良し、実験・観察の結果を書く際、必要に応じて図や表、数値、記号、箇条書きを用いるなどの「相手にわかりやすく伝える表現力」の育成に努めている。
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