「書き方モデル」は、思考の発達段階に沿うように、学年によって次のように内容を変えている。
〔低学年〕理科の導入となる低学年の生活科では、学習課題を見いだしたり意識したりするきっかけとなる「気づき」の、量と質の向上を重視。モデルでは、「どのくらいのおおきさ?」「どんなにおい?」「さわってみると?」といった感覚を用いた観察の視点を与えると共に、「~のよう」「~みたい」と、何かに例える表現方法を重点的に学ばせる。「書くことを習慣付けるようにしていますが、自由な気づきや表現を重視し、かっちりとした型は用いません」と、西浦先生は説明する。
〔中学年〕理科の授業が始まる中学年では、基本的な問題解決の流れに沿った書き方モデルを用いた考察指導が始まる。
「低学年から書くことには慣れさせていますし、3年生の最初から書き方モデルを取り入れるため、子どもたちに抵抗感は見られません」(西浦先生)
ただ、すぐに書けるようになる子どもは少ない。部分的な穴埋め形式のプリントに取り組ませたり、上手に書けた考察を見本として配ったりして型に慣れさせる。最初は考察の指導に1時間ほどを要するが、何より大事なのは地道な個別指導、と西浦先生は強調する。
「書く力を伸ばすための近道はありません。授業中にアドバイスをしたり、一人ひとりのノートにコメントを書いたりと、時間はかかりますが個別指導は不可欠です」(写真1、2)
地道な指導の繰り返しにより、3年生の2学期にはかなりの成長が見られるという。
「多くの子どもが書き方モデルに照らし合わせながら、何とか考察を書けるようになります。この時点で書けない子も、繰り返し練習してきた経験から、『何のために実験をするのか』『結果から何がわかるか』といった授業の目的や流れを理解できるようになります」(西浦先生)
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