同校では、ほかの単元でも児童が教材を自らの手で作ることを重視する。例えば、3年生では硬貨と食塩水を使って電池を作ったり、5年生では振り子の原理を応用したおもちゃを考えさせたりしている。
「一通りの学習を終えたあと、頭と手を使って工作することにより、漠然としていた知識が完全に自分のものになります」と、夏至先生はそのねらいを話す。こうした工作は、クラス全員で取り組むため、一人ひとりに確実に力を付けさせることができる。
基礎的・基本的な知識・技能に関する学習でも、可能な限り、一人ひとりに体験させることを意識した指導を取り入れている。校長の木谷(きだに)誠治先生は、ビーカーとメスシリンダーの扱い方に関する指導を例に挙げる。
「まず、ビーカーに100mlの水を正確に注ぐように指示します。『本当にぴったり?』と聞くと、子どもはたいてい自信満々に『はい!』と答えます。ところが、メスシリンダーに水を移させると、かなりの誤差があることがわかります。一人ひとりがこのような驚きを体験することにより、ビーカーとメスシリンダーの用途についての実感的な理解が深まるのです」
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