新学習指導要領へのアプローチ 第3回 「問題解決能力」を高める理科指導
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
   PAGE 12/17 前ページ 次ページ

教師が学び合う校内研修会「明成塾」

 教材や指導法について、同校の教師が一体となって研究し、その成果を共有する場が「明成塾」だ。
 職員室の一角には、38型の薄型テレビとDVDプレイヤーが設置されている。そこに週1回、教師が集まり、授業を撮影したビデオを再生し、意見を交換する。この校内研修は、06年度に金沢市学校力向上推進事業に指定されたことをきっかけに始めた。当初は有志が不定期に行っていたが、「定期的に実施したい」という声を受けて、毎週水曜の放課後を充てた。基本的に教師全員が参加し、順番に発表を担当する。
 「指導技術や教材開発、授業構成などについての意見を交わすのがねらいです。本校には50代の教師が多いため、ベテランから若手への技術の継承の場としても重視しています」(木谷校長)
 担当教師は、授業を自分で撮影する。研修時にその映像をビデオで見せながら、指導や教材の意図を説明。それに対して、参加者は自由に質問やアドバイスをする。内容は、声のかけ方や子どもの反応、板書、教材、学級運営など多岐に渡る。
 時間的な負担がかからないよう、研修時間は原則として30分。短時間のため、継続した実施が可能となり、集中して取り組める効果もあるという
 「授業を分析する観点が共有できるようになり、研究授業での議論も深まり、意義深いものになっています」(浅永先生)
 明成塾と並行して、08年度には「理科実技研修会」を始めた。理科の指導力の底上げを目的とした、実験・観察器具の操作技能に関する研修会だ。理科の研究主任らを講師として、理科室で実際に器具を取り扱いながら進める
 浅永先生は、「元々私は理科の指導に苦手意識がありましたが、この研修会に参加して、以前に比べて気持ちに余裕を持って授業に臨めるようになりました」と話す。現在は不定期に実施しているが、今後は月1回の定期化を検討している。
 こうした校内研修により、明成小学校では教師間に互いに学び合う関係が生まれてきた。木谷校長は意欲的にこう語る。
 「子どもにとって望ましい学級とは、わかったことだけではなく、『ここがわからない』と、気兼ねなく言い合える集団ではないでしょうか。同様に、教師もわからないことを、いつでもほかの教師に質問し合える関係をつくりたい。そのような環境があってこそ、教師は伸びていけるはずです

写真
写真 明成塾では、授業についての意見を交換するほか、各自がつくった教材を共有する場にもなっている。ほかの部屋で行うのではなく、職員室の一角にスペースを設けているからこそ、肩肘張らずに話せる雰囲気が生まれているという

   PAGE 12/17 前ページ 次ページ