Q5:授業では、「習得」「活用」「探究」を明確に分けて考える必要があるのでしょうか
A5:三つは相互にかかわるため、その必要はありません
例えば、「ある知識を覚えたけれど、よく考えてみると理由がわからない」ということがあります。「横浜市の人口は覚えたけれど、なぜ、この地域に人口が集中しているのかはわからない」といったケースです。その理由を解明していく学習は「活用」です。そして、理由を解明して、「だから、横浜市には人口が多いのか」と理解が深まれば、同時に習得によって覚えた人口などの知識も忘れにくくなるでしょう。つまり、「活用力」を育てる過程で自然と「習得」もできているのです。
各要素を明確に分ける必要はありませんが、教師は、要素の特徴とその時間に付けたい力を確実に押さえておく必要があります。例えば、算数の時間に図形の面積を求める公式について学び、校庭に出て図形を描いて理解を深めさせるとします。その際、子どもが校庭のヒマラヤ杉に興味を示したとしましょう。「探究」の時間であれば、子どもが興味を示したことを喜び、ヒマラヤ杉について調べさせてもよいのですが、この時間はあくまでも「習得」に基づいた「活用」の時間ですから、子どもの興味を面積に向けなくてはなりません。
このように、「習得」「活用」「探究」の違いを理解することによって、授業のねらいを外すことなく、学習効果を高めることができます。
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