新学習指導要領へのアプローチ 第4回 「活用」から考える授業づくり
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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ポイント2 「習得」「探究」との関係

Q4:「活用」と「習得」「探究」との違いを教えてください

A4:知識・技能を身に付けるのが「習得」、子どもが自由に課題を追究するのが「探究」です
 「活用」は、習得と探究の中間に位置し、両者をつなぐ役割があります。活用と探究の違いを簡単にいうと、「活用」では事前に教師が教えたい内容を明確に用意するのに対し、「探究」ではそれをしないと考えてください。
 例えば、子どもが自分の住む町について学ぶうちに、隣町に興味を持ったとします。「活用」の場合、子どもの思考を促しながらも、あくまでも自分の町について学習する方向に軌道修正していく必要があります。一方、「探究」では子どもの興味を第一に考え、隣町について自由に学習させてかまいません。こうした指導上の特性から、基本的に、「活用」は教科の中で、「探究」は「総合的な学習の時間」の中で指導すると考えられます。

Q5:授業では、「習得」「活用」「探究」を明確に分けて考える必要があるのでしょうか

A5:三つは相互にかかわるため、その必要はありません
 例えば、「ある知識を覚えたけれど、よく考えてみると理由がわからない」ということがあります。「横浜市の人口は覚えたけれど、なぜ、この地域に人口が集中しているのかはわからない」といったケースです。その理由を解明していく学習は「活用」です。そして、理由を解明して、「だから、横浜市には人口が多いのか」と理解が深まれば、同時に習得によって覚えた人口などの知識も忘れにくくなるでしょう。つまり、「活用力」を育てる過程で自然と「習得」もできているのです。
 各要素を明確に分ける必要はありませんが、教師は、要素の特徴とその時間に付けたい力を確実に押さえておく必要があります。例えば、算数の時間に図形の面積を求める公式について学び、校庭に出て図形を描いて理解を深めさせるとします。その際、子どもが校庭のヒマラヤ杉に興味を示したとしましょう。「探究」の時間であれば、子どもが興味を示したことを喜び、ヒマラヤ杉について調べさせてもよいのですが、この時間はあくまでも「習得」に基づいた「活用」の時間ですから、子どもの興味を面積に向けなくてはなりません。
 このように、「習得」「活用」「探究」の違いを理解することによって、授業のねらいを外すことなく、学習効果を高めることができます。


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