甲府市立石田小学校
早川 健
Hayakawa Ken 1学年担任。日本数学教育学会会員、全国算数授業研究会幹事。共著書に『生かす算数』(杉山吉茂編集代表『生かす算数・数学シリーズ』日本教材文化研究財団)、『少なく教えて多くを学ぶ算数指導』(杉山吉茂編著・明治図書)、『算数の力を育てる授業』(東洋館出版社)などがある。全国算数授業研究大会、山梨県総合教育センター算数研修会などで実践を多数発表。
早川健先生は、「活用」とは、先生から習い、その内容を適用して問題を解くことではなく、未知の問題解決に自分の持っているものを使ってみようとしたり、新しい算数をつくったりするときに発現するものだという。 授業の中で、子どもたちが「既習の知識を活用してみたい」と思える場を仕組むヒントを探る。
「初めて見る問題だ。でも、前に習った方法を使えば解けるかもしれない」 「小数や分数の割り算でも、このきまりが使えるはずだ」 早川健先生は、算数を通して、新しい問題に主体的に取り組む姿勢を育てたいと考える。そのためには、習得した知識や技能を土台とした「活用力」が不可欠、と話す。 「既習の知識を用いて、未習の問題を解決する力。それが『活用力』だと考えます」 例えば、一桁同士のかけ算九九を理解した子どもが一桁×二桁の問題に取り組むとき、「数が大きいのでできない」と諦めるか、「前に習った九九のきまりを生かせるかもしれない」と前向きに取り組むかには、大きな違いがある。早川先生は、「生かそうとする」子どもを育てる工夫を数多く取り入れている。
早川先生は、教師が一方的に教えるのではなく、子どもの気づきや発見を大切にし、子どもの発想を生かそうと心がける。既習内容と関連して考えさせ、既習内容を生かして問題を解く力、活用する力を育もうとしている。 「『算数は、教師が教え子どもが覚える教科』だとしたら、子どもは『算数はより多くを覚えて、問題を正しく解けることが大切』ととらえるでしょう。算数にはもちろん『できる』『わかる』という習得も大切ですが、もっと重要なのは覚えた知識を生かして新たな問題解決に使ったり、新しい算数をつくったりすることです。そのためには、自分で考え自分から取り組む主体的な姿勢が必要になります」 早川先生は、授業に、子ども自身が獲得した法則や考え方を「活用したい」と思わせる場面を設ける。授業の導入では、既習の知識を生かすことができる問題や日常生活に結び付いた問題を提示し、「考えてみたいな」と思わせる。「前に勉強した○○を使えばできそうだ」と、見通しが持てるようにして問題解決に当たらせることが大切だと考えている。