移行措置対応のポイント 第1回 担任が進める英語活動
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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英語活動の工夫と、教師・子どもの変化

活動の「型」を作ると教師も子どもも安心できる

 同校の英語活動における一つ目の工夫は型の設定(図4)。菅原純子校長(当時)は、「多くの教師が英語活動に戸惑うのは、自分なりの型を持っていないからです。活動の流れを明確に示せば、気持ちはかなり楽になります」と話す。型があればALTとの打ち合わせも、言語材料やゲームの内容など最小限で済む。子どもも安心して活動に臨め、「『チャンツ』で学んだ内容は、最後のインタビューで必要になる」と主体的に学ぶようになる。

 二つ目はヒアリングの重視だ。佐貫先生は、「もう少し話せるようにしたい」という思いから言葉や表現の指導を増やしたことがあったが、途端に子どもの反応が悪くなったと言う。

「子どもは自信が無いことは表現したがらず、気持ちが引いてしまうことを痛感しました。以来、たくさんの知識を覚えさせるのではなく、少ない知識でいかに多様な表現をさせるかを心掛けています」

 三つ目は模擬授業だ。全学年の担任を子ども役とした模擬授業と意見交換を、全教科の研究授業の前日に行う。山﨑先生は、「実際に模擬授業をしてみて初めて展開に無理があると気付くこともあります。活動方法を見直す良い機会になっています」と効果を話す。

図4 1時間の活動の流れ
 1.あいさつ…笑顔で気持ち良くスタートする
 2.…声を出し、体を動かしてウオーミングアップをする
 3.チャンツ…前時の復習や本時で使う言葉やフレーズを練習する
 4.めあての提示…共通のねらいを持って活動に入る
 5.デモンストレーション…教師のモデルで課題を明確にする
 6.チャレンジ…子どもが進んで表現する気持ちを大切にする
 7.ゲーム…心と体を使う・たくさんの友だちとかかわる・言葉を何回も使う
 8.感想発表…めあてに沿って自分のことや友だちのことを振り返る

まず担任が発音すれば子どもは話しやすい

 08年度に5年生担任となった山﨑先生は英語が苦手だった。年度前半は、07年度と同じようにALT中心の活動で進めた。

 「1学期の間は自信がなく一歩引いた状態でした。でも、週1回の活動をするためには計画的に活動を積み重ねていく必要性を感じ、ALTの進め方を見ながら自分が出来ることを探し、少しずつ取り組むようにしました」

 それでも始めは発音が気になったり、頭で分かっていても声に出せなかったりしていた。そこで、よく使う英語の表現をメモして手元に持ち、さりげなく見ながら言うようにした。既に年間計画があったことも大きく、10月には担任主導で活動できるようになった。

 「子どもに積極的に表現させるには、まずは担任がやってみないと。担任が主導する意味はそこにあると思います。確かに苦労はありますが、子どもが他教科での発表でも声や態度が堂々とするなどの、表現力の変化を見ていると、やってよかったと思います」と、山﨑先生は活動の手応えを感じている。


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