移行措置対応のポイント 第1回 担任が進める英語活動
兼重昇

▲兼重昇


かねしげ・のぼる◎広島大大学院教育学研究科博士課程単位取得退学後、兵庫教育大助手、鳴門教育大講師などを経て現職。鳴門教育大・小学校英語教育センター兼務。専門は英語科授業研究、小学校英語教育。小学校学習指導要領解説編作成協力者。全国英語教育学会、小学校英語教育学会等に所属。主著に『小学校新学習指導要領の展開 外国語活動編』(共編著・明治図書出版)など。全国の学校を回り、教員研修や授業指導を行っている。

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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【インタビュー2】ねらいを達成する活動をつくるために

英語と日本語を交ぜながら
「英語ノート」のアレンジを

鳴門教育大大学院学校教育研究科准教授 兼重昇

英語活動のねらいがコミュニケーション能力の向上にあることを理解できたとしても、そのための授業づくりに不安があると言う声は多い。目的を達成する授業づくりのポイントとして、まず何から始めれば良いか。鳴門教育大大学院の兼重昇准教授に、【学校事例1】出雲市立上津小学校を例に聞いた。
 ■インタビューのポイント
英語活動づくりのポイント
英語活動は子どもを深く理解する担任が主導する。すべてを英語で話そうとせず、適宜、日本語を使っても構わない
子どもは「出来た」という達成感から学習意欲を高める。伝え合う姿を褒め、コミュニケーションの大切さを教える
「英語ノート」は、子どもの実態に合わせてアレンジして使うと良い。その際、指導書の「ねらい」から外れないようにする

英語活動で外せない三つの観点

 「コミュニケーション能力」を育むために英語活動で重視していただきたい観点は三つあります。

(1)担任が活動を主導する

 一人ひとりの子どもに応じて活動を進められるのは、子どもを最も理解している担任です。例えば、場面に応じてどの子どもに発言させるのが適切かという判断は、ALTには難しいでしょう。ALTに任せきりでは子どもの実態に合わない活動となり、コミュニケーションしようという意欲が生まれにくくなります。

 ALTがリードすると良い場面もありますが、その場合もねらいや流れをあらかじめ担任が説明し、理解してもらう必要があります。

(2)子どもに「コミュニケーション出来た」という達成感を持たせる

 英語活動の最大のねらいは、コミュニケーション能力の育成です。英語で気持ちを伝え合えたことを褒めれば、子どもはコミュニケーションの大切さを理解し、実践するようになるでしょう。「出来た」という達成感は子どもの学習意欲を高めます。コミュニケーションをする活動を取り入れ、伝え合おうとする子どもの姿を意識して褒め、達成感を持たせるようにしてください。そうではなく、もし発音ばかりを褒めれば、子どもは「発音が大事なんだ」と思い込んでしまいます。

(3)「分からないこと」や「即興性」を楽しむ

 授業中に伝えたい言葉を英語で表現しようとする際、どのような単語やフレーズを使えば良いか、分からなくなることがあると思います。そうした時は、ALTに質問したり、子どもと一緒に辞書を引いたりしてみましょう。分からない時の解決方法を教えることにもなり、子どもが自主的に考え、学ぶ力も伸ばせるはずです。

 他の授業でも同じだと思いますが、とりわけ生きたコミュニケーション活動である英語活動では、「即興性」も大切です。活動計画通りに進めることにこだわりすぎず、子どもの関心や授業の流れをきっかけに活動を広げていくことを楽しみましょう。


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