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実践での取り入れ方 |
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この三つの観点をどのように実践すれば良いのか、私が実際に授業を拝見した出雲市立上津小学校の活動(事例1)を例に説明します。他の先生方にも参考になりそうなお勧めの点、改善点は図1にまとめました。
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(1)クラスルームイングリッシュで活動を主導
担任は、活動の区切りごとに、Are you ready? Let's play a game! などとクラスルームイングリッシュを使い、活動の流れをつくっていました。ALTも積極的に活動していましたが、デモンストレーションを行うなど、あくまでもサポート役に徹していました。担任が活動の区切りを示すことで、担任主導の形になっています。
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(2)コミュニケーションが取れたかどうかを振り返らせる
担任は、活動を始める際に、子どもに eye contact clear voice good reactionというコミュニケーションのポイントを伝えました(図3)。そして、活動の終わりには「reactionは出来ましたか?」とコミュニケーションを重視した振り返りをさせています。
このような一貫した指導により、子どもはコミュニケーションの大切さを理解します。上津小学校のように、How are you? などのあいさつも形式的にせず、相手の目を見てゆっくりと分かりやすく話すなどを意識させることで、コミュニケーションの基本が身に付いていくのです。
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(3)その場面ならではのコミュニケーションを大切にさせる
「分からないこと」に直面した際でもコミュニケーションを楽しめるかどうかは、想定外の質問を受けた時によく分かります。子どもは外国人にプレゼントした折り紙について、What's this? などと質問されましたが、身ぶり手ぶりを交えて何とか伝えようとしていました。英語を上手に話すことよりも、表情や身ぶり手ぶりを使いながら、相手に気持ちを伝えることの重要性を担任が日頃から教え、このような場面をつくっていくと良いでしょう。
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図1 上津小学校の事例から学べるヒント |
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良かった点 |
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ペアになってインタビューをした
初対面の外国人へのインタビューは難易度が高いのですが、2人1組で取り組ませ、緊張感を和らげていました。常にペアを組む方が良いというわけではありませんが、この活動は同校の子どもには合っていました
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インタビュー前のゲームにも真剣に取り組んでいた
インタビューで使う表現が含まれていたので、その後の活動がスムーズに進みました。子どもが、「ゲームに次の活動で使う内容が含まれている」と理解しているからでしょう
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プレゼントを渡した
子どもが自主的に「プレゼントを渡したい」と提案。その気持ちを尊重した結果、折り紙を介した豊かなコミュニケーションが生まれました
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加えると良い点 |
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子どもに「ねらい」を考えさせる
外国人へのインタビューの前に「今回は特に“eye contact”と“goodreaction”を心掛けよう」と担任は言いました。先にルールを示さず、まずは「外国の方と仲良くなるにはどうしたらよいか」と考えさせても良かったかもしれません。その過程で、“eye contact” などの大切な観点は、子どもから自然と出てくるのではないかと思います
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子どもの気持ちを質問内容に反映させる
外国人への質問は共通の内容が設定されていました。あらかじめ子どもが質問を考え、各自一つプラスしても良かったでしょう
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“Once more, please.”/“Slowly, please.”といった表現を強調して教える
話す相手の名前を覚えることは重要なことです。外国人の名前は、一度聞いただけではなかなか覚えられません。担任は「どんな名前の方がいましたか」と振り返らせても良かったと思います。担任とALTのデモンストレーションには、上記2点のフレーズが含まれていましたが、相手の名前を覚えることの大切さと共にもっと強調して指導すれば、覚えにくい内容もしっかり聞くやりとりが出来るのではないでしょうか
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活動で芽生えた興味を次につなげる
活動を振り返る際に「次は何をしてみたい?」などの質問をすると、次回以降の活動のきっかけになるでしょう
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