ベネッセのデータでみる子どもと教育 生活時間

VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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 まとめ

限られた放課後の時間を
有意義に過ごせるような支援を

子どもには、自分で自由に使える時間が少ないようだ。小学5・6年生の睡眠時間は約8時間30分、学校で過ごす時間は約7時間30分。食事や身の回りのことなど、すべての小学生に必要な時間も含めると、残りは約5時間となる(【1】)。

下校後に、友だちと遊んだり習い事に通ったり、宿題に取り組んで、夕食を食べ、テレビを見ていたら、あっという間に就寝時刻になってしまう。そうした毎日の積み重ねが、多忙感につながっている可能性がある。また、子ども自身ももっと上手に時間を使いたいと感じている一方、忙しくても毎日楽しいと感じている子どもは時間の使い方に関する自己評価が高い(【6】)。学校や保護者は、より上手な時間の使い方の工夫を、発達段階に応じて伝えていくことが求められているのではないだろうか。

今回の調査結果の特徴としては、地域によって学習時間に差が見られたことが挙げられる(【3】)。これは、遊びの時間や人と過ごす時間などには見られなかった傾向だ。例えば、都市部では、学習塾も含めての学校外での学習時間が長く、通塾率も高い。一方、学校の宿題をする時間は、都市部以外の地域の方が10分程度多い。学習塾の少ない地域では、学校が相当量の宿題を出すことによって、学習量を確保するよう配慮しているのかもしれない。

子どもの放課後の過ごし方において、今後、課題に挙げられるのは、2011年に全面実施となる新学習指導要領だ。指導内容・授業時数が増えて、今よりも宿題の量も増えることが考えられる。そうなると、子どもの自由な時間はますます限られ、多忙感や疲労感にもつながりかねない。

放課後の過ごし方は学校だけで指導しきれるものではないが、子どもたちが放課後の時間を有意義に過ごせるよう、学校や家庭・地域の支援がますます重要になるのではないだろうか。
【1】~【6】出典

「放課後の生活時間調査」ベネッセ教育研究開発センター

・調査時期は2008年11月、調査対象は全国の小学5年生~高校2年生で、有効回答数は合計8,017人(うち小学生は2,603人)。回収率は31.2%。

研修会や保護者会に役立つ!
子どもの生活時間に関するお薦めウェブサイト
厚生労働省
全国家庭児童調査
http://www.mhlw.go.jp/
toukei/list/72-16.html

◎家族そろって食事をする日数や、父母の仕事の種類別に見た子どもとの会話時間など、保護者と子どものかかわり方が分かる

文部科学省
家庭で・地域で・学校でみんなで
早寝早起き朝ごはん
─子どもの生活リズム向上ハンドブック─

http://www.mext.go.jp/a_menu/
shougai/katei/08060902.htm


◎食事・睡眠など、基本的な生活習慣に関するデータが分かりやすく示されている

内閣府
低年齢少年の生活と意識に関する調査
http://www8.cao.go.jp/youth/
kenkyu/teinenrei2/zenbun/index.html


◎家庭や学校での日常生活や地域とのかかわり、価値観など、社会性に関連する意識を調べている。その一部として、起床時間や就寝時間、休日の過ごし方など、時間に関する項目がある

第5回情報化社会と青少年に関する意識調査
http://www8.cao.go.jp/youth/
kenkyu/jouhou5/index.html


◎携帯電話、インターネット、テレビゲーム(オンラインゲーム)など、メディアに関する利用時間が詳しく分かる
総務省
社会生活基本調査
http://www.stat.go.jp/
data/shakai/2006/index.htm

◎10歳以上を対象に、日々の生活における「時間の過ごし方」や1年間の「余暇活動」の状況などが、経年で分かる

国立教育政策研究所
IEA国際数学・理科教育動向調査の2007年調査
http://www.nier.go.jp/
timss/2007/index.html

◎中学2年生の学校外での時間の過ごし方を国際比較できる。宿題の時間が短く、テレビ視聴の時間が長いことなどが分かる
*上記は2009年7月時点での情報です
次号
予告
『保護者の意識』について取り上げます

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