◎この10年で子どもの教育に対する保護者の関心が高まっている(【1】)。学校教育についても、保護者は学力だけでなく、社会性の育成や生活習慣の確立など、多くの面で高い期待を寄せる(【2】)。背景には、いわゆる「ゆとり教育」による学力低下への不安や、保護者自身も「家庭でのしつけや教育が不十分」と感じていること(*)などが考えられる。
◎そうした中、大半の保護者は、学校での子どもの様子や、学校の教育方針を知りたいと願っている(【3】)。そこでまずは、「子どもの様子を伝えたいと思っています」という学校の姿勢を示すことから始めてはどうだろう。学校だよりや学級通信などを通して、学校が学級の状況や指導の様子を日頃からこまめに伝える。例えば、登下校時の安全指導や学級の友人関係など、保護者が気にかけていること(【4】)を踏まえた情報を発信するのも一案だろう。
◎学力の向上や社会性の育成について、自校の取り組みの相対的な比較や、子どもの力が具体的にどのくらい伸びたのかなどを客観的に表せる指標は少ない。このため、指導の成果を保護者に分かりやすく提示するのは難しいからだ。
◎学校の取り組みや指導には、8割近くの保護者が満足している(【5】、【6】)。これは、学校のたゆまぬ努力の表れだろう。一方、満足していない保護者や批判的な保護者、無関心な保護者も、少数派とはいえ一定数いる。
◎こまめに情報を伝えたり、保護者の話をよく聞いたりすることによる教師の負担は大きい。しかし、こうした取り組みは、保護者と学校との信頼関係を築く基礎となる。保護者の支援によって問題の拡大を防げる場合もあるし、学校への理解が深まるほど満足度は向上する。学校の教育活動を円滑に進めていく上で、かかった負担の大きさと同等以上の効果を得られるのではないだろうか。
*内閣府「低年齢少年の生活と意識に関する調査」(2007年2月)
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