[2] 「言語活動例」は実生活を意識して具体化
従来は学習指導要領の「内容の取扱い」にあった言語活動例が、指導事項に関連付けて各領域の「内容」に示されたことにも注目してください。言語活動例に示された言語の機能や表現の様式は、「学級新聞」「依頼状」「案内状」など、実生活や各教科で使用頻度の高いものが挙げられています(P.5図1)。
例えば、子どもがアサガオやミニトマトなどの観察記録を書いたものは、多くの場合「生活文」の文体になっています。「今日、○○を観察しました」「早く大きくなって欲しいです」などの表現は必要ありません。記録文と生活文を使い分けられない子どもが多いのは、言語の機能や表現の様式がきちんと指導されていないからです。
しかし、今後の社会で他者に自分の考えを表現し伝えるためには、効果的で適切な言語の機能や表現の様式を考えて用いることが大切です。新学習指導要領では、国語を通して多様な言語の機能や表現の様式を身に付け、実生活や他教科に生かしていくことを大きなねらいとしています。それが、08年の中央教育審議会の答申(*4)などで述べられた言語活動の充実において「中心となるのは国語」とされた意味です。
新学習指導要領に示された言語活動例のほとんどが、11年度から使われる新しい教科書に入るでしょう。これらはあくまでも例で、他の言語活動を扱っても良いのですが、実生活などへの広がりを意識した表現や言語を用いることが大切です。移行期間のうちから、少しずつこのような活動を授業の中で取り入れていくと良いでしょう。
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