[2] 基礎・基本が十分に習得されていない
従来型の授業では基礎的・基本的な知識・技能を重視していたとはいえ、それが十分に習得されていたかといえば、私はそうは思いません。教師の発問が中心の授業では、理解の早い一部の子どもが中心となって答え、授業が進められていくことが多いからです。他の子どもは授業についていけないために学習意欲が低下し、更に分からなくなるという構図があったのではないでしょうか。基礎・基本の定着には、十分に音読させたり書かせたりする必要がありますが、挙手をして積極的に学ぶのは理解の早い子どもだけという授業では、学力差はますます開いてしまいます。
それに対して、すべての子どもが基礎・基本を身に付けていくのに有効なのが言語活動です。まず、目標が明確なので、子どもたちが主体的に学ぶ姿勢が生まれます。更に、基礎・基本が言語活動に組み込まれていることで、すべての子どもに豊かな学びを保障でき、教師にとっては、発問応答式の授業よりも教えやすくなる効果があるでしょう。
例えば、「物語を書き換えて紙芝居を作る」という言語活動を行う場合、子どもは自主的に音読や視写をします(図2)。単に反応の早い子どもを中心に進められる発問応答で指導するより、習得の効果が高くなるのは当然の結果ではないでしょうか。新学習指導要領にある、「(1)に示す指導事項を(2)に示す言語活動例を通して指導する」とは、このような指導を指しているのです。
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