移行措置対応のポイント 第4回 言語活動を通じてつくる国語の授業
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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2009年度に実践した1年生の単元の流れを紹介

 「指導事項マトリクス」で身に付けさせたい力を確認し、「言語活動を設定するプロセス」を経て授業をつくる同校。授業の流れを、「じどう車ずかんをつくろう」を例に紹介する。

単元「じどう車ずかんをつくろう」(国語9時間、生活科2時間)

単元の概要

「じどう車ずかんをつくろう」を目標に掲げ、単元の最後に近接する幼保一体施設「あゆみ園」を訪れ、調べたことを発表する。そのために、自動車に関する教材文を読み、自動車の特徴や説明文の書き方を学び、それを生かしていく。

育てたい力

「時間的な順序や事柄の順序などを考えながら内容の大体を読む」力
複数の文章を読んで共通点を見つける力
接続語「そのために」を用いてつながりのある文章を書く力
カタカナで書く語を読んだり書いたりする力

単元のねらい

 1学期に「たのしいとりのだいひゃっか」(とりのくちばし図鑑)を作り、「問い」─「答え」という説明文の基本を学んだ。本単元では、さまざまな車の「しごと」と「つくり」が、「話題・問題提起」→「問題に対する答え」として書かれているのを読み取り、内容を理解すること、図鑑を作る作業を通して、説明文への理解を深めることをねらう。09年度の「全国学力・学習状況調査」では、文の意味のつながりを考えながら、接続語を使って内容を分けて書く問題などの正答率が低かった。それを踏まえ、接続語である「そのために」の使い方を学び、図鑑作りに生かす活動を取り入れている

指導の流れのポイント

 単元の冒頭で、以前に作った「たのしいとりのだいひゃっか」を思い出させると共に、教師が作った「じどう車ずかん」の見本を見せて、関心・意欲を引き出した。続いて、教師の支援の下、子ども自身に学習計画を立てさせ、学習の見通しを持たせた。
 その後は、教科書を使って図鑑作りに必要な要素を読み取る力を身に付けながら、図鑑作りを進めた。その際、常に前時の学習を想起させることによって、学習内容が次の時間に生かせることに気付かせた
 最後に、幼保一体施設「あゆみ園」で調べたことを発表する機会を設けることで、関心・意欲の持続を図った。

教師の振り返り

 指導計画に習得・活用の流れを明記したことにより、どこで習得した力をどこで活用するかが意識できた。習得した力を整理して掲示し、毎授業の最初に振り返らせることで、一人ひとりの習得を深められた。更に、前時までの学習内容では解決できない課題を与え、新しい力を子ども自身が発見する場を与えた。
 一方、「読む力」と「書く力」の両方を目標に設定したことは検討が必要であったと吉田先生は振り返る。「『書く力』の育成も目標であれば、文章の構成を考えたり、文章を書いたりする言語活動を盛り込む必要があったと思います。ただ、設定時数内でこれらの活動を行うのは難しく、『書く力』については別単元での指導が妥当でした。年間を通じた指導事項と言語活動との整合性の確認の重要性を改めて感じました」

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