III 「基礎・基本となる力」をつけるために
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基礎・基本となる力をつけていくために,教員が互いに連携しながら指導していくようにしている。
TT教員は,学習の基盤となる基礎的な力をつけることを,主なねらいとして取り組む。その力を生かして,担任の教員が基本的な力をつけていくようにしている。
このように,ある程度の役割を決めて,指導を進めていくときも,互いに連絡・連携・協働することが大切である。
基礎・基本を身につけていくためには,教員の連携のように,枠組みを見直すことが重要になってくる。時間の枠組み,連携の枠組み,内容の枠組みなど,基礎・基本を身につけるという視点から見直してみて,総合的に取り組みを進めていけるようにしている。
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1 朝の「かがやきタイム」の活用
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毎朝の15分間は,「かがやきタイム」という時間をとっている。ここでは,詩の朗読や読書,計算,身体表現活動などを行っている。この活動は,学習の基礎となるべきものなので,主にTT教員が計画を立てて実施している。
かがやきタイムの年間計画。
4月 |
音読・読書 |
10月 |
読書 |
5月 |
算数(計算) 音読・表現 |
11月 |
音読・表現 |
6月 |
音読・表現 読書 算数(計算) |
12月 |
表現 |
7月 |
算数(計算) 表現運動 |
1月 |
表現運動 |
8月 |
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2月 |
算数(計算) 音読・表現 |
9月 |
算数(計算) |
3月 |
音読・表現 読書 |
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2 毎日の家庭学習課題の作成とチェック
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学習の基礎になる部分を育てるために,TTが毎日の家庭学習課題を作成し,採点・チェックを行っている。内容については,算数にしぼって重点的に取り組んでいる。
子どもたちは毎日,TT教員が作成したプリントを家庭で行い,翌日提出する。TT教員は,その日のうちに採点・チェックして子どもに返却する。間違いがある場合も,その日のうちに直しきることを目標にして行っている。
1年間やり終えた子どもたちは,授業の理解が深まったと考えられる。これは,算数テストのクラス平均が90点を超えるクラスがほとんどだったということからもうかがえる。
また,1年間に170枚を超えるプリントという目に見える形で表れたことにより,算数に対する自信をもつこともできたようである。 |
3 補充学習
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学習の基礎になる部分については,1~3年生までが週に1時間,補充学習を行っている。国語と算数を中心に補充の時間をとっている。
それぞれ,「すいすいタイム」「わくわく算数」「わくわく国語」などの名称をつけて,子どもたちにも,活動時間として意識できるようにしている。
補充時間はクラスごとに行い,TT教員と担任が連携して,複数指導ができる体制をとっている。 |
4 少人数指導
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基本的な力をつけるために,TT教員と担任とが連携して,少人数指導を行う単元がある。算数を中心に,学級を2つに分けて指導を行うようにしている。この時のグループは,均等に分けたものであり,特に習熟度別にはしていない。
少人数の学習形態をとることで,子どもたちは落ち着いた環境で活動に取り組むことができ,じっくりと考えて課題に向かう場面が多く見られるようになってきた。
授業後に行ったアンケートでも,多くの子どもたちが,発表や質問がしやすかったことをあげ,授業が楽しかったと書いている。
ただ,指導人数の問題もあり,それほど多くの時間を少人数指導とすることができないのが現状である。 |
5 一部教科担任制
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中学年と高学年の一部で,教科担任制をとっている。これには二つのねらいがある。一つは,小中連携を目指して,中学校へのスムーズな移行をはかるということである。もう一つは,授業の準備をていねいに行い,子どもが興味をもって学習に取り組めるようにするということである。
教科は,中学年で理科,高学年で理科・音楽・図工となっている。特に理科を取り上げているのは,実験や観察の準備など,全体を見通して計画的に行わなければならない教科であり,実験のときには複数指導体制が生きると考えたからである。
高学年の理科では,次のように指導を行っている。
TT教員が2学年分の理科の計画を立て,プリントや実験の準備を行う
↓
担任とTT教員の2人体制で授業を行う
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このような一部教科担任制は,中学校の教科担任制と小学校の学級担任制のよいところを取り入れたものである。これから,さらに望ましい姿を探っていきたい。
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6 教員研修プロジェクト
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本校では,研究テーマに沿って,全学年(組)で研究授業が行われている。これによって,研究は継続・発展されていっているが,教科にしぼっての研修や,あるテーマについての研修はもちにくい。
そこで,月に一度の研修プロジェクトを実施している。ここでは,コンピュータや英語などのテーマ研修,総合的な学習,各教科の授業づくり研修などを行っている。
研修プロジェクトの講師は,本校教員であり,お互いに自分の得意とする分野を公開することにより,専門性を高めていこうとしている。これは,研修を受ける方のプラスになるばかりではなく,研修講師を務める側にとっても意味ある研修となっている。 |