小学校英語活動 Vol.2 東京都品川区立城南小学校
WEB版 VIEW21[小学版] 教育情報レポート ~小学校英語活動~
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課題はALTの質と量の確保と、評価材料

 最後に、4年間の研究のなかで出てきた課題についてきいてみた。

 髙木校長がまず挙げるのは、ALTの質と量の確保だ。

「区内に40もの小学校を抱える品川区では、ALTの確保を人材派遣会社に依頼しています。すると、まったく指導経験のない人が派遣されてくることもあります。そういうALTに、こちらの意図を伝え、授業に臨んでもらうのは至難の業です。

 本来は、ALTも日本語がわかる人でなくてはなりません。というのは、授業の流れを見ていて、『ここはもっと伸ばしたい』『子どもたちが飽きてきたようだから、別の展開にしたい』というとっさの判断は、担任にしかできないのです。担任と意思疎通するためには、話せないまでも、話している内容を理解してもらわなくてはならないのですが、いま、それを望むのは不可能に近いです」と、髙木校長は嘆く。

「予算の関係もありますから、現在は与えられた人材を育てていくしかないのです。本校では、まず、指導案は英文をうんと盛り込み、日本語がわからないALTが見てもわかるものにしました。でも、将来のことを考えると、私自身の考えとしては、国内の人材を育てることを考えたほうがよいと思いますね」

 もう一点の課題が評価。これに関しては、2年前から市販のCDを使って「聞き取り能力テスト」を実施している。だが、現状では、英語活動の評価結果は保護者に公表していない。その理由は、保護者の期待と学校のねらいにズレがあると思うからだ。また、結果を知らせることで、英語塾通いに拍車がかかる懸念もある。

「保護者の方には、小学校で英語活動をしたからといって、『英語が話せるようになる』とか、『中学校の英語の成績がよくなる』などと期待しないでください。英語を通して、幅広い人間を育てようとしているのですから、とくり返し話しています」

「仮に日本語であっても、堂々とコミュニケーションできるような子どもにしたい」
そうした本校の先生方の願いにどれほど近づいているのか。いよいよ始まる全区実施に向け、11月には研究の成果が発表される。


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