各学校の研究の進め方を知るために、拠点校の1つ、那覇市立松川小学校を訪ねた。
松川小学校では、Dタイプの指導形態、すなわち、45分の授業を1、2年生が週1回、3年生以上が週2回実施する中で研究を行っている。全て担任と英語指導員(AET、JTE)とのTTとして実施されているが、それを可能にしているのが英語指導員2人という拠点校ゆえの恵まれた体制だ。1人は、中学校から派遣されている棚原歩先生。コーディネーターをしながら、JTEとして3つの学年、週18時間の授業を受け持っている。もう1人がローラ・ブラウン先生で、AETとして常駐し、同じく3つの学年、週17時間ほどの授業を受け持っている。
まず、4年生の授業を見せてもらった。「いろいろな国」というテーマのもと、インタビューゲームをしながら、Where
is it from? It's from~.という対話の表現を身に付け、Japan,America, England,……などいろいろな国名の英語表現に慣れ親しむというのが授業の中心だった。
担任の平安名由起子先生とJTEの棚原歩先生のTTで進められたが、印象的だったのは、2人の先生が45分間ほとんど日本語を使わず、あいさつから細かな指示まで、終始英語で進められていたことだった。それに対してほとんどの子どもたちが戸惑いも見せず、楽しそうに流れに乗っていて、予定のプログラムも早めに終了。余裕のできた時間を使って、追加でゲームを行った。
授業後に棚原先生に、なぜ授業が早く進んだかをうかがうと、教材で使ったカードは、事前に担任の先生が「ある国の名前を聞いてどんなことをイメージするか」をクラスの児童に調査して、最も多かったものを絵や写真にしたものだという。例えばブラジルに該当するものは「サッカー」、イギリスは「ハリー・ポッター」、韓国は「俳優のペ・ヨンジュン」などの絵や写真がカードになっており、まさに旬の教材が使われていた。
「学年ごとのカリキュラムはありますが、子どもの実態に合わせ、言語材料・語数については、担任の先生と相談しながら工夫改善しています」(棚原先生)
オールイングリシュでの授業は、1年目は「よくわからない」ときょとんとしている子どももいたそうだ。しかし、担任の先生にモデルになってもらってデモンストレーションを繰り返しているうちに、理解できるようになってきたという。あと、大げさなジェスチャーをすることで、「だいたいこういうことだろう」とわかって動いてくれればいいと棚原先生は考えている。
|