平安名先生は採用2年目の若い先生だが、子どもたちに元気がなければAre you
ready ? と発奮を促し、正解したらGood job !と自信を持って子どもと向き合っていた。長嶺和子校長によると、3分の2以上の先生が英語の授業に自信をもっているという。しかし、研究1年目はそうではなかった。担任の先生方の多くは教室の後ろにいて、授業見学者のようなスタンスで、「前に来てほしい」と頼んでも、「何をすればいいのか」と尻込みをされたという。
「先生が尻込みするのは、何をすればいいか分からないからです。ですから、役割をはっきりさせました。まずはあいさつからということで、雰囲気づくりをお願いしました。そして、授業のシナリオをつくり、担任の先生に話してほしいところにマーカーをつけてお渡ししました。それも、What's
this? It's~.のような対話の場合、同じ質問を担任の先生に繰り返してもらい、答えを私が言うようにしました。しかし、それにも慣れてきたので、これからは紙のシナリオをなくしていこうと考えています」(棚原先生)
研究1年目から先生方を見てきた崎濱秀一教頭も、「最初は、AET、JTEがT1で、担任の自分はT2なんだという意識が強かったと思います。それが、今では、本当の意味のチームティーチングを行うという意識になっていると思います」と言う。
松川小学校のTTが円滑に運んでいる背景に、毎週金曜日の学年会で、翌週の授業について綿密に打ち合わせをしていることがある。シナリオをつくるというのは前述の通りだが、そのほかに教材準備などの打ち合わせも行われる。日本語を十分に話せないAETのローラ先生のために、棚原先生は学年会前日の木曜日に2人だけのミーティングを行う。それ以外にも、毎朝、少しの時間を見つけては打ち合わせをする。
「英語指導員が2人いて、さらにJTEの棚原先生がコーディネーターの役割を果たしてくれる。こんな有り難いことはないですが、ただ、研究期間終了後の体制が不安です。英語教育を進めるなら、まず体制を整えることが重要だと思います」(崎濱教頭)
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