小学校英語活動 Vol.4 石川県金沢市


金沢市データ

 加賀百万石といわれた旧城下町の金沢市は、人口約45万7千人の北陸の中核都市。1995年に「金沢世界都市構想」を打ち出して以来、世界に通用する人材の育成のためにさまざまな施策を打ち出している。それは、「学校二学期制」であり、学力調査等の結果を反映した市独自の「学習指導基準金沢スタンダード」による授業の実施であり、「教育特区における小中一貫英語教育」等である。
小中一貫英語教育に関しては、小中学校ともに2004年度から段階的に実施しており、移行措置を経て、06年度からは「小中一貫英語カリキュラム」が小中学校で完全実施される。現在、市内には市立小学校は58校(1分校)、市立中学校24校(1分校)があり、それぞれ、児童24,882人、生徒11,852人(H17)が在籍している。


金沢市教育委員会
住所 〒920-8577
石川県金沢市広坂1-1-18
電話 076-220-2449(学校指導課)
FAX 076-223-4602(学校指導課)
URL http://www.kanazawa
-city.ed.jp/

教育長 石原多賀子氏


石原多賀子教育長

石原多賀子教育長

WEB版 VIEW21[小学版] 教育情報レポート ~小学校英語活動~
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小学校英語活動 Vol.4
石川県金沢市

「金沢世界都市構想」のもと、市立全小中学校で小中一貫英語教育

 ―― 「聞く」「話す」から段階的に「読む」「書く」も導入 ――

「教育特区における小中一貫英語教育」は、「金沢世界都市構想」の大きな柱。2001年から3年間かけて行ったモデル校での研究をもとに、金沢市独自の小中一貫英語教育カリキュラムを作成。04年度から市立全小中学校で実施している。めざすのは、義務教育を終えた段階で、「実践的コミュニケーション能力を中心にした高い英語力を身につけている国際人の育成」である。2005年10月28~29日に金沢市で開かれた「全国小中学校英語教育特区研究大会inKANAZAWA」(コラム2参照)での発表や公開授業のなかから、同市の実践を紹介したい。



● 金沢市における英語教育(主として小学校段階)のPOINT
(1)

市内の公立小学校全校の3年生以上に「英語科」を設置し、年間35時間を標準に指導。また、授業と授業をつなぐものとして、15分間のショートタイムを週1回程度実施。

(2) 「聞く」「話す」が指導の中心だが、5、6年生から段階的に「読む」「書く」を取り入れる。
(3) 3~5年生までは、市が作成した副読本を主な教材として使用。6年生は、中学1年生の教科書を使用。
(4) 担任と英語指導講師、あるいは英語インストラクターとのTTで指導し、ショートタイムは、担任が単独で指導する。授業プランづくり等は英語指導講師や英語インストラクターが中心になり、学級担任もアイデアを出す。
(5) 英語科の評価は3、4年生は3観点、5、6年生は4観点で行う。6年生には評定も実施。

特区で教科としての「英語科」を新設。3年生以上に35時間実施

 金沢市は2004年3月に「小中一貫英語教育特区」(以下、「英語特区」)に認定され、04年度から全市をあげて「小中一貫英語教育」に取り組んでいるが、ここにこぎつけるまでに8年かかっている。

 1995年度に策定された「金沢世界都市構想」の理念に基づき、翌96年度から、市立全小学校に年間10時間程度の「英語活動」を導入。うち1校が文部省(当時)の指定を受けて、「英語活動」の研究を開始した。その実績を背景に、2000年度、「小中一貫英語教育実施検討委員会」を設立。01年度からの3年間は、大徳中学校区をモデル地域として、小中一貫英語教育のあり方を研究。それが市独自の「小中学校英語学習指導基準」「小中学校英語年間指導計画例」のもとになった。

 英語特区として金沢市で認定された特例措置は、「教育課程の弾力的運用」と「教科書の早期給与」の2点である。

「教育課程の弾力的運用」により、小学校教育課程に教科としての「英語科」を新設。3年生以上に年間35時間を標準時数として授業を実施。そのほかに、授業と授業をつなぐ役割として、1回15分の「ショートタイム」を週1回以上実施している。ちなみに、中学校教育課程でも「弾力的運用」を活用して必修英語の授業時数を140時間に拡充し(文科省の標準時数は105時間)、さらに全学年で「選択英語(発展・補充の2講座)」も開設している。


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