司会 人材問題に関連しますが、「教員研修は実際に成果は上がっているのか」という質問がきていますが、いかがですか?
松香 韓国では国家プロジェクトとして、担任が教えることになりました。そこで、翌年3年担任になる人を全部集め、3時に勤務を終えさせ、1回4時間の研修を週3回行いました。トータル10週で120時間の研修は、病気になる人も出たというほどのハードなものだったそうです。それを4年間続け、担任全員が英語を教えられるようにしたわけです。
日本の教員数、児童数は韓国の2倍の規模ですから、同じようなことを目指すなら、かなりの勢いで実施しなければならないと思います。しかしいまの日本は、国の1つの号令で実施できる状況ではなくなっています。
研修は確かに必要ですが、いまの先生は研修漬けで飽和状態です。そんななかで押しつけで研修しても、全然効果はありません。いちばんよい研修は、子どもと一緒に学んで行くことです。例えば、朝から全校で英語のフレーズや歌を流していく、そういうものがよい研修だと思います。毎日英語の歌を流していると、まず1、2年生が最初に歌い出します。担任もハッとして、自分も勉強をし始める…というよい循環になります。
田尻 私も年間40回くらいは研修会の講師をしますが、先生たちには失敗談をよくします。
そして、それをどう克服していったかをお伝えしています。また、生徒の作品をお見せし、子どもたちの潜在能力がいかに高いかをわかってもらうようにしています。
ただし、小学校英語は始まっていないので、失敗談を語れる先生があまりいないのが難点です。だから、だれかに教わるという研修よりも「シェアする」研修をすればいい。
教育委員会で企画してもらうのも一つの方法ですが、民間の草の根の研修も有効です。島根大学教育学部附属中学校校長の築道和明先生が15年前に呼びかけて始まった「山陰英語教育研究会」(1991年~)は、いまだに続いていて、毎月集まってみんなで勉強をしています。そうしたところで、みんなでシェアし合うのがよいのでは?
|