学びが深まるIT活用 教師の教科指導のアイデアをITサポーターとの連携で実現
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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検索機能、音声、動画を活用して英語を指導

 英語では、ベネッセコーポレーションのITサポーター(P.6コラム参照)と連携して、パソコンを活用した授業が試みられている。
  「英語の教科書では、単元ごとにいろいろな国や人、ものなどがテーマに取り上げられています。それらの国の文化や歴史まで知ってほしいと考え、新しい単元に入る前に2時間かけて、テーマについてインターネットで調べ、まとめさせるようにしています」(英語担当・羽賀直美先生)
  こうすることで生徒の関心を引き付け、新しい単元にスムーズに入っていく。
  「よい題材があっても、教科書をただなぞっていくだけでは、生徒の心にはなかなかとどまりません。導入時の流れが、生徒の心に残るような仕掛けにもなっているのです」(英語担当・岡野由美先生)
  教師のメリットとしては、ワークシートの回収とチェックがパソコンのモニター上ででき、効率がよいことだ。(P.4実録e授業参照
  英語では、このほかにも「スクールイントラパック」を利用して、教科指導をしている。最も特徴的なのは、05年度の3年生が作成した「サバイバルガイドブック」という会話集だ(図1)。
  生徒はグループに分かれ、「買い物をする」「道を尋ねる」といった九つの場面のストーリーを考え、日本語と英語の文でスキット(寸劇)をつくる。これをスクールイントラパックに入力し、場面別に検索できるようにしておくというものだ。さらに、その会話文を台本にして、生徒自身が演じて、担当教師がデジタルビデオカメラで撮影した。この映像もスクールイントラパックに登録し、対応する会話文のページから見ることができるようにしたのだ(写真1)。
  「完成した『サバイバルガイドブック』はCD・ROMに焼いて、卒業記念として生徒に渡しました。卒業してからも、この学校で勉強したことに誇りを持ってもらえればと思います」(岡野先生)
  この「サバイバルガイドブック」は、ALT(外国語指導助手)が「3年間学んできた英語を記録し、卒業後にも役立つようにしてはどうか」と発案したことから実現した。具体化に際しては、英語の教師がITサポーターに相談し、スクールイントラパックを活用した方法を提案してもらった。
  かくして、ITの特性を最大限に生かし、文字のみならず動画や音声のデータも駆使した作品集が完成した。生徒にとっても教える側にとっても力作で、卒業記念としてだけでなく、次年度以降の生徒が活用できる、最高の贈り物にもなった。06年度も同様の製作を継続した。
  指導者から生まれた授業のアイデアを、ITサポーターが形にする。この連携は、コンピュータをより効果的な道具として機能させる上で非常に効果的だ。和気中学校の英語での試みは、その好例といえるだろう。

▼図1 サバイバルガイドブック
図1-1



図1-3
和気中学校が独自に作成した場面別の英会話集。生徒が場面を設定し、それぞれ考えた会話文が、英語と日本語で表示される。動画や音声も記録されている
写真1
写真1 「サバイバルガイドブック」では、生徒がスキットを演じた映像を見ることもできる
IT活用の成功ポイント
Point 1 ITを教科学習の導入に使い生徒の関心と意欲を高める
授業の素材提示や板書の代用、調べ学習のツールなどとしてITを活用。学習への動機付けを行う
Point 2 ITサポーターとの連携を確立
ITサポーターとの協力態勢を確立することで、教師の負担が軽減し、ソフトのより効果的な活用が可能となる

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