学校が地域の事業所と継続的にかかわり、地域を活性化させるという発想が、今、求められています。地域に生徒を預けるのではなく、地域の人と一緒に共同体をつくるイメージです。特に過疎地域では、学校が頑張らないと地域の未来がないといった危機感もあります。職場体験で中学生が地域に出ることは、地域活性化の大きな可能性を秘めています。
私がかかわった千葉県多古(たこ)町(P.14参照)の経験では、キャリア教育に地域の人たちが積極的にかかわった結果、多くの中学生が地元の魅力に気づきました。その結果、将来は地域のために働きたいという意識が高まり、偏差値だけで他地域の高校を選ばず、高校の中身をよく理解した上で地元の高校に進学する生徒が増えました。これは、地域にとって大きな財産です。地域自身のために地域が盛り立てる面も、キャリア教育にはあるのです。
教師はもっと異業種交流をしてほしいと思います。事業所との関係は、教師自身が学校以外の文化を知るきっかけになります。そして、成果を授業に生かしてほしい。社会を意識し、教える内容を捉え直すこと。これこそが本来のキャリア教育の在り方だと思います。
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