特集 家庭学習─机に向かう習慣づくり
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
   PAGE 14/22 前ページ  次ページ
Check

個に応じた指導のための「教科相談」と「学習カルテ」

 C(チェック)に位置付けられるのは、「教科相談」や「学習カルテ」だ。これらは、家庭学習指導のためだけにというよりも、個に応じた指導によって学力向上を図るという全体の取り組みの一つとして活用している
 「教科相談」は、全校生徒を対象に年2、3回行う教科担当による面談だ。生徒は、事前に相談したい教科と相談内容を「教科相談調査用紙」に書いて提出(図2)。この用紙を基に教科担任が相談日時を決め、生徒に知らせる。相談内容は、勉強方法から個別の問題の解法までさまざま。個別に面談したり、同じような質問の生徒がいれば2、3人一緒に面談したりする。国語のテストの勉強方法を相談したある3年生の生徒は「先生に個人的に質問できるので、悩んでいたことに具体的なアドバイスをもらえました」と話す。
 教科相談後、生徒は事前に提出した調査用紙に「実際に取り組むこと」を記入する。これが自習帳へと結び付いている。ある生徒は、数学教師に因数分解の勉強法を相談したところ、「ドリルを繰り返そう」とアドバイスを受け、自習帳で因数分解の基本問題を何度も解いた(図2)。英作文が苦手なある生徒は、英語教師に「毎日、自習帳で5文以上の英文日記を書こう」と助言され、実際に続けた。
 「他の生徒にも参考になるよう、今後は相談内容と回答をQ&A形式で掲示し、全校で共有(可視化)したいと考えています」(大場先生)

図2:教科相談調査用紙
年2、3回行う教科相談では、生徒が面談前後に質問内容や実際の面談内容などを記入。学級担任もそれに目を通してアドバイスを記入する
※上記の加工可能な資料がダウンロードできます
■教科相談調査用紙 Wordダウンロード(41KB)

 「学習カルテ」は、学習や生活の記録を1冊にまとめていくファイルだ。自分のテストの結果や誤答分析を書いたり、教科相談調査用紙を張ったりする。このうち家庭学習・生活の記録では、定期テスト前1週間程度の、家庭での学習内容や学習時間を記入する。保護者にもコメントを書いてもらう(図3)。学習カルテは職員室の専用ロッカーに並べられ、教職員の誰もが見られる。一つのファイルを介して、学級担任と教科担任が互いのかかわり方を把握できるというわけだ。
 「学習カルテを見れば、生徒の苦手分野が分かります。例えば、数学で同じようなミスを繰り返している生徒に、そのミスを減らすための課題を出すなど、担当教科以外の学習指導も出来ます。更に、保護者面談で、家庭学習の仕方を話し合う際の資料としても活用しています」(大場先生)

図3:家庭学習・生活の記録
「保護者より一言」欄からは、目的を持って家庭学習する重要性が保護者にも理解されていることがうかがえる。「担任からの一言」では具体的な改善点をアドバイスしている
※上記の加工可能な資料がダウンロードできます
■家庭学習・生活の記録 Wordダウンロード(87KB)

   PAGE 14/22 前ページ 次ページ