ベネッセ教育総合研究所 ベネッセホールディングス
プリント学習や授業改善で学習内容の徹底理解を図る
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同校では
大内先生や吉田先生が言うように「基礎力を生徒に確実に定着させるという、全教科に共通した方針」の下、各教科の特性に応じた授業展開や問題演習のスタイルが確立しているのだ。しかし一方で、大内先生は「生徒の自主性をいかに育てるかもポイント」と語る。
 「志望大に合格するには、最終的には生徒自身の頑張りに負う部分が大きいんです。それに大学に入ることが最終目標ではなく、入って何をするかが一番大事ですから、そのためにも生徒の自主性を育てておかなくてはなりません。ある時点までは教師が生徒を引っ張り上げますが、そこから先は自力で歩める生徒を育成する必要があります」
 同校は1、2年次では、0限補習や7限補習は一切行っていない。上位層の生徒は補習をしなくても、自分で伸びる力を持っている。また中下位層の生徒も授業を通して「内容を理解できる喜び」や「問題を解ける喜び」を体験させれば、自ら学びへと向かうようになる。化学Iの実験重視の授業などはその典型だが、授業は学力を付ける場であると同時に、学習意欲を伸ばす場でもあるのだ。
 「0限や7限を設けるなど、教師がたくさんの勉強量を生徒に課すことで成績を伸ばそうとしても、最後は息切れするというのが私の持論です。自主性を身に付けさせておけば、逆に生徒の側から伸びようとするのです。実は本校でも、昨年度から3年生を対象に冬休みに特別演習を始めたのですが、これは生徒自ら『やってほしい』と申し出てきたものなんですよ」(大内先生)
 それぞれの教科特性を考慮に入れながら、生徒の現状に合った指導スタイルを構築し、高い学力と学習意欲を持った生徒を育て上げていく。その結果が「理系に強い今治西高校」という評価へとつながっているのである。


column
進路座談会
 同校が98年より実施している「進路座談会」(本誌2001年2月号P.16「指導変革の軌跡」参照)は、3年生が1、2年生を前に受験や進路、部活動などについて自らの経験を語るものだ。当初は2年生のみを対象とした取り組みだったが、現在は「総合的な学習の時間」の一環として全学年で行われている。
 1年生に対しては、「新聞を読むことで自分の興味・関心が分かる」「数IIICは難しいので覚悟が必要」など、主に進路観育成や文理選択に関するアドバイスが語られる。時には「部活動を続けるのは良いこと、大切なのは気持ちの切り替え」など、高校生活を有意義に過ごせるよう励ましのエールを送る生徒も。2年生に対しては文系・理系ごとに、効果的な学習方法や学習スケジュールの組み方などをアドバイスする。「2年生の時にやっておけばよかったこと」「志望校決定の経緯」「現在の生活」など、今まさに受験勉強に身を置いた3年生の口から、具体的な事例が次々と飛び出してくる。
 1、2年生の進路意識を啓発するだけではなく、話をしている3年生自身も学習へのモチベーションが上がるという。
 
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