ベネッセ教育総合研究所
大学改革の行方 薬学教育改革の方向性とは
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Chapter6
今後求められる進路指導 ~生徒に伝えたい情報とは

高校時代に薬剤師か研究者か早期の選択が必要
 中教審の答申では、6年制学部または4年制学部入学後の進路変更について「多様な(薬)学生の進路を考慮し、制度に柔軟性を持たせるため(中略)、適切な方策を講じる必要がある」と述べている。
図6
 薬剤師を志望して6年制学部、あるいは研究者を目指して4年制学部に進学した者が、入学後にもう一方のコースへ進路変更を希望する例は少なくないと予想される。そのために、中教審の答申では「適切な方策」を求めているわけだ。
 だが、実際には大学入学後の進路変更がどの程度可能なのか、現時点では不透明だ。富田教授は次のように語る。
 「学部には定員数が決められています。例えば4年制から6年制への進路変更希望者が多数出てきた場合やその逆の場合、すべての進路変更を認めるとどちらか一方の定員のバランスが崩れるわけですから、現実には進路変更希望に応じられないケースも出てくるでしょうね」
 したがって薬学部志望の生徒への進路指導では、06年度からの学部並存スタートを見据え、将来薬剤師になるのか研究者になりたいのか、あるいはMRとして製薬会社に就職したいのか、高校生の段階である程度、将来像を描かせる必要があるという。
 「高校での職業研究が一層求められると共に、個々の大学のカリキュラム、卒業後の進路状況を見極めた大学選択が求められます」(富田教授)

卒業後の進路等をチェックする
 また、今後は薬剤師の供給過多が予測されること、高い専門知識を持った優秀な薬剤師が求められていることなど、薬学の世界を巡る現状を、薬学部志望の生徒にきちんと情報提供していくことも必要になるだろう。
 「薬剤師の資格を取れば、必ず就職できるわけではなく、大学時代にどのような教育を受け、どんな知識・技能を身に付けているかが問われる選別の時代になりました。生徒に大学選択をさせる際には、大学の教育内容や卒業生の進路状況などを調べることが、これまで以上に重要になっていると言えるでしょうね」(桐野教授)
 Chapter4でも述べたように、06年度以降の薬学教育の具体的な在り方については、法案成立後に決定する事項も多い。高校現場としても、審議の動向を注意深く見守っていく必要がある。
コラム


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