指導変革の軌跡 山形県立酒田東高校「低学年指導」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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こまめな面談を通して生活リズムを修正

 宿泊研修終了後も酒田東高校では新たな施策を次々と打ち出していった。宿泊研修を真に意味のあるものにするには、そこで培った学習方法や生活習慣を、その後の生活の中でも維持させていくことが重要だからだ。
  入学式前から生徒に記入させている「学習と生活の記録」もその一つ。日々の学習記録を付けさせることで、生徒に自分の生活を振り返るきっかけを与えるものだ(今号(05年10月号「VIEW'S REPORT」10ページ参照)。だが、より重要なことは、教師がほぼ毎日それをチェックすることで、生徒の生活リズムの乱れを察知し、面談を通して早めに修正できるようになった点だろう。実際、04年度1年生では、4~8月の間に3回の個人面談を実施したが、「学習と生活の記録」を見て教師が必要だと判断した生徒については、別途こまめに面談を行ったという。「宿泊研修で実施した指導を生徒に習慣付けるには、教師からの発信と確認を絶えず行うことが大切。『学習と生活の記録』は、そのための強力なツールにもなっているんです」と石川先生は語る。
  「学習と生活の記録」では「書かせる」ことにもこだわった。冊子の後半部分には、1ページ800字程度が記入できるスペースが設けられている。生徒はそこに学期終了時や夏期休暇終了時など節目の反省や、進研模試や中間・期末考査の振り返り、進学講演会や球技大会、演劇鑑賞教室の感想など、事あるごとに文章を書き込んでいく。
  「1年間続けることで書くことに対する生徒の抵抗感は全くなくなりましたね。2年生になった現在では、生徒もどういうタイミングで書くのかを分かっていますから、テストや行事が終わった時点から、書く内容を頭の中で整理しているようです」(石川先生)
  学習習慣の定着と共に、生徒は「書くこと」についての習慣も身に付けつつあるようだ。


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