VIEW'S REPORT 学習計画・学習記録で自学自習力を付ける
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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事例3 「学習と生活の記録」で生徒の内省を促す

山形県立酒田東高校

記録を重視する「学習と生活の記録」

  04年度1年生から「習慣と実行」を合言葉に改革を進めている山形県立酒田東高校。学習習慣定着のために酒田東高校が導入しているのが、今号(05年10月号)「指導変革の軌跡」3ページでも紹介した「学習と生活の記録」(図6)だ。

▼図6 クリックすると拡大します
図6

  これは、その名の通りあくまで家庭学習の実績を「記録」させるもので、特別な場合を除いて「計画」は立てない(長期休暇中や定期考査2週間前など、事前に教師が生徒の計画を把握しておいた方がよい節目には、事前に計画を立てさせている)。
  記入の方法は、登校後すぐに前日分の記録を付けるのが原則。ただし、午前中に付けられない生徒については、昼休みや放課後になったり、帰宅後に記入したりすることもあるという。週の終わりには「今週のコメント」欄に反省を記入し、更に当該週の累計の学習時間を記入させる。
  担任は週に1回は必ず提出させてチェックし、コメントを記入してその日のうちに生徒に返却する。ただ、一度にすべての生徒の記録をチェックするのは負担になるため、教師によっては、「月曜日は出席番号の1~10番、火曜日は11番~20番」といった風に、毎日小分けに回収することもある。
  また、特に指導が必要な生徒に関しては、毎日昼休みに直接持ってこさせて指導する教師もいるという。
  ところで、多くの学校が「計画」を立てさせ、その「実績」を記入させている中、酒田東高校が「実績」のみを記録させているのには、どのような意図があるのだろうか。
  2学年主任の石川一男先生は、その狙いを「自分の生活を振り返り、その反省を次の日に生かすということを基本に考えた」と述べる。
  「生徒の中にはちょっとした行事があるだけで、すぐにリズムを崩す者や、一度リズムを崩すと修正に時間がかかる者がいます。生活を記録させ、振り返らせることで『日々の生活は同じリズムが重要』ということを1日に1度意識させることが最大の目的なのです」
  そのため、担任がチェックする際には、起床時間と学習開始時間、就寝時間の三点固定を心掛けさせることを最も意識するという。逆に言うと、教師が「学習と生活の記録」を見て、普段と異なる生活リズムになっている生徒がいれば、それは要注意というわけだ。
  そういう場合は、直接生徒に声をかけて様子を聞いたり、アドバイスをしたりして日々の生活の中で微調整を行っていく。「担任が生徒の変化を察知して、気軽に声をかけるきっかけになっていることも『学習と生活の記録』の利点の一つ」と、石川先生は述べる。
  そして生活が大幅に乱れていたり、時には全く記入していなかったりするなど、深刻な状況が予想される場合は即面談となる。
  このように「振り返り」を基調とした酒田東高校の「学習と生活の記録」だが、日々の記録を記入させるだけではなく、学期の終わりには800字程度の「反省」も書かせている。「できた」「できなかった」といったレベルではなく、学期を通しての生活の在り方や教科のバランス、学習へのモチベーションの持ち方など、より深いレベルで生活全般を振り返り、次学期への反省とするためである。


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