生徒指導は、生徒の人間的な成長や、学力伸張を図る上での土台であり、 教科指導や進路指導を成立させる基盤だといえるだろう。 ところが、近年、「生徒の幼稚化」を指摘する教師の声を多く聞く。 そこで、幼稚化する高校生に対する効果的な生徒指導の方策について考える。
教師の声に見る近年の生徒指導
◎十数年前と比べると、新入生の実態として「生徒の幼稚化」が一層進んでいるように感じる。 ◎生徒の「自律性の低下」「社会性の低下」が目立っているように感じられる。 ◎生徒に、基本的な生活習慣を早期に確立させることが困難になってきている。 ◎生徒指導上、強制的にしつける部分と、生徒から手を離して自主性に委ねる部分の見極めが難しくなった。 ◎教師間で生徒指導の方針・考え方がそろわないため、生徒指導の効果が発揮されない。 ◎「生徒の顔を学校に向けさせる」「中学4年生ではなく高校1年生にする」ために、生徒指導の重要性は大きく、生徒の実態に応じた見直しの必要性を感じている。
*全国の『VIEW21』モニター教師(約100名)のアンケートより抜粋
生徒指導の課題と方策
生徒の実態とそこから見えてきた課題を踏まえ、 「生徒を高校生にする」ためにどのような指導が求められているのかを、学校事例を基に考える
1.データから見る近年の生徒の実態
2.課題の整理
◎基本的な生活習慣が未定着 ◎自律性の低下 ◎希薄な規範意識 ◎教師の指示に対する素直な姿勢
◎生徒指導の考え方や手法が教師によって異なり、全校体制での取り組みが困難 ◎生徒とのかかわり方や信頼関係のつくり方に困る教師が増え
幼稚化する生徒に学校としてどう対応するか
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3.課題解決のポイント
統制的な しつけ指導
◎新入生にルール遵守の態度や基本的な生活習慣を身につけさせ、「中学生から高校生にする」には、「当たり前のことをやりきらせる」厳格な指導がポイントとなる。 【関連記事】P.2「富山中部高校」、P.5「鹿屋高校」、P.9「豊田北高校」、P.13「西条農業高校」
生徒同士の 学びの場を生かし、 生徒の自律性を育む
◎学校行事や生徒会活動の中で生徒同士が学び合う場面を設定し、生徒に成功体験や挫折体験を通して、自律性や学校への帰属意識を高めさせる。 【関連記事】P.2「富山中部高校」、P.5「鹿屋高校」
教師間で 生徒指導の目線を合わせ、 全校体制で取り組む
◎教師間で指導がぶれないよう、学年会などで生徒の実態や指導方針をこまめに確認することが重要だ。初担任用の生徒指導マニュアルを用意することも有効。 【関連記事】P.2「富山中部高校」、P.9「豊田北高校」、P.13「西条農業高校」、P.17「コラム」
保護者からの協力
◎保護者から生徒指導の方針に賛同を得て、取り組みに協力してもらうことで、生徒指導の効果はより高められる。 【関連記事】P.2「富山中部高校」、P.5「鹿屋高校」、P.9「豊田北高校」
生徒と教師の信頼関係
◎統制的な指導や生徒の自律性を高める仕掛けが機能するための土台は、生徒と教師の信頼関係だ。 【関連記事】P.2「富山中部高校」、P.5「鹿屋高校」、P.9「豊田北高校」、P.17「コラム」