指導変革の軌跡 三重県立川越高校「自立した学習者を育てる」
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「生活確認表」で生徒の生活を把握

 変化していく生徒にどのように対応すべきか。同校の模索が始まった。他校を視察し、得られた知見は貪欲に取り入れた。「フットワークの軽さは本校の特徴。従来の取り組みをベースにして、できるところから始めました」と進路指導主事の森本卓幸先生は話す。
 生徒の変化に合わせていこうとすると、自然と生徒に手をかける指導になった。その一つが「生活確認表」だ。それまで、生徒の学習状況については「計画」に絞って把握してきた。定期考査や長期休暇の前に特定期間の学習計画を書かせ、その期間が終わると学習時間の実績と自己評価を記入させていた(小誌05年10月号参照)。しかし、山田先生は07年度に3年生の担任を経験し、「計画表のチェックだけでは、生徒の実態はつかめなくなった」と感じた。
 「計画表を見る限りきちんと勉強していて、本人も面談で『頑張っている』と話していたのですが、入試では不本意な結果になった生徒が何人もいました。以前は計画表と面談によって個々の生徒の問題意識や悩みを十分につかめましたが、今の生徒は伝える力が弱いためか、実態をつかみにくい。普段の生活にも目を向け、早期に課題を把握する必要性を痛感しました」
 そこで、08年2月に1年生を対象として「学習時間モニター週間」を設けた。夕食時間、学習時間と内容、就寝時間など、帰宅後の生活を「確認表」に記録させるのだ。期間中の1週間は毎日担任がチェックし、コメントを添えて生徒に戻した。すると、学習時間ゼロという生徒が1、2割いるなど、生徒の生活状況が明確に見えてきた。
 「『テレビと学習の時間を入れ替えなさい』とアドバイスしたところ、すぐに取り入れた生徒は多くいます。やるべきことを具体的に指示するなど手取り足取り指導していかなければ、学習時間を確保することもおぼつかないという状況でした」(鵜山先生)
 学習時間モニター週間は2年生でも4月に1週間実施し、確認表は面談の資料としても活用している。


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