指導変革の軌跡 兵庫県立夢前高校
VIEW21[高校版] 新しい指導力向上のパートナー
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英会話番組を通して 地域との一体感を醸成

 08年8月に放映を開始したケーブルテレビでの英会話番組も、OJTの一環だ。町民向けのケーブルテレビに住民が楽しめる番組の制作ができれば、地域に貢献でき、学校のイメージアップにもつながるというのが原校長の意図だった。
 企画を任された島村先生は、同じ英語科の教師に相談したが、皆、番組制作の経験はない。英会話番組と決め、1年分のプログラムと絵コンテをつくり、局に提案した。10分間の番組を1日4回放映する枠をもらえ、収録・編集まで局が無料で支援する体制まで整えてくれた。
 番組名は「夢前高校ワンポイント英会話」。英語圏で日常的に使う慣用表現を毎月1つ取り上げ、実際の使い方を学ぶ。同校に親しみを持ってもらおうと、英語科以外の教師、生徒が登場するほか、駐在所の巡査、地元の中学生たちにも登場を依頼し、地域との一体感を醸し出す。番組は同校のウェブサイトにもアップし、DVDに収録して地元中学校に配付している。
 「番組の企画、実行を教職歴1年の私に任せてくださった時は、この機会を生かせるように努力しようと思いました。この企画が、開かれた学校づくりに役立つように、生徒の自信につながるように、先輩の先生方と試行錯誤しながら取り組みました。おかげさまで、反響も上々で、毎日楽しみに見ているという保護者の声も寄せられています」(島村先生)
 番組出演が縁で、同校へ進学した生徒もいる。教師による中学校への英語の出前授業も実現した。今後は小学校での外国語活動の導入を見据え、地元小学校教師との交流も検討中だ。
 「若手育成には、一人ひとりに頑張れば達成できる課題を与えることが重要だと思います。英会話番組や学校新聞の制作(図2)もその一つです。難しいことでもベテラン教師が手本を見せて一緒に指導する中でできるようになる。このように教師同士が学び合う雰囲気ができれば、学校は変わるのです」(原校長)
図2 学校新聞『Dream News 夢高』
図2
地域へのPRのために、2008年度に創刊した学校新聞。OJTを兼ねて、若手教師に制作を任せている。1年間で22号発行した。中学校に配布するだけでなく、地域住民の目に触れるようコンビニエンスストアなどにも置いている
 学校の雰囲気は1年で大きく変わった。遅刻や容儀の乱れは激減し、落ち着いて授業を受ける態度が定着してきた。教師の意識も高まり、若手教師の中には率先して授業研究を始めるグループが現れた。「これからは教科・進路指導を充実させたい」と教師たちは次を見据える。
 「生徒は皆、磨けば光るダイヤの原石のようなものです。これまで磨かれなかったために、その魅力が表に出なかっただけなのです。今は一人ひとりの生徒が注目され、手を差しのべられることで生き生きと活動していると感じます。温かいまなざしがあれば、教師がどんなに厳しく接しても生徒は必ず応えてくれます。生徒中心の指導を徹底することによって、生徒はもっと輝き、本校の魅力も増していくのではないでしょうか」(若松先生)
*今回のテーマに関連する過去の記事:

2008年度 2008年6月号特集「神奈川県立菅高校」、 ■2007年度 2007年12月号「兵庫県立神崎高校」

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