改革から1年。生徒の意識は徐々に変化している。欠席や遅刻はほとんどなくなり、入学時に比べ普段の会話でも、教師のちょっとした冗談に笑顔で返す生徒が増えるなど、生徒と教師の距離は確実に縮まっている。何よりも、教師が生徒を褒める場面が多くなった。9月に喝を入れたかいもあり、学習習慣は定着してきた。
これらの成果を踏まえ、1年生3学期からは隔週で土曜補習を再開するなど、徐々に従来の「厳しい指導」に転換しつつある。2年生は「理科・社会の貯金をつくる学年」と位置付け、密度の濃い補習を積極的に行う計画だ。夏から秋にかけて大学・学部研究を行い、入試への気持ちを高めた上で、3年生では再び補習を減らし、生徒の主体性に任せる指導に切り替えていく。
「『3年生で手を離す』と学年で目線合わせをしているからこそ、今どのような指導が必要なのかを考えられるのです。いつごろ手を離せばよいのか、進研模試やスタディサポートのデータ、生徒の様子を見ながら、教科担当と話し合って判断していきたいです」(山村先生)
今後は同学年の取り組みを他学年に波及させていく。
「今は学年間の縦のつながりが少なく、他学年の取り組みを生かし切れていませ
ん。特進クラスが更に飛躍を遂げるには、学年色は残しつつ、良い取り組みを継承する体制を整えることが大切だと考えています。学年間でノウハウを共有できる体制を整えていくことが、今後の課題です」(梁川先生)
議論のたたき台は、同学年が作成中の指導計画だ(図2)。3年間を見通した大まかな計画を立て、詳細な実行案は取り組みと並行して精緻化を図っている。3年間を通した形が整うのは2年後、現1年生が卒業する時だ。取り組みの継承は、同学年の躍進にかかっている。 |