新学習指導要領へのアプローチ 第2回 学びが深まる「算数的活動」
VIEW21[小学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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高学年  ひし形、台形の面積が新たに加わる
中学校からの学習内容の移行も目立つ

小数と分数の系統性が高まる

 P.9の表を見てもわかるように、新しく加わる内容が最も多い学年が5、6年生です。
 まず、「数と計算」で注意が必要なのが、「分数の乗・除」(5年生)と「小数同士の乗・除」(5年生)です。新学習指導要領では、簡単な分数は2年生で学習し、4年生では分数は「同分母分数の加・減の計算」、小数は「乗数や除数が整数である場合の乗・除の計算」まで学習します。5年生では、「分数の乗・除」や「小数同士の乗・除」、現在6年生で学んでいる「異分母分数の加・減の計算」を学ぶことになります。そして6年生では、学んだ小数、分数をしっかり習得するために「小数、分数の計算能力の定着と活用」が設けられています。
 新学習指導要領では、小数・分数の学習を再構成することで、系統性のある優れたカリキュラムになりました。この系統性に沿ったスパイラルを意識した指導が大切になります。

さまざまな図形を関連させて学ばせる

 「量と測定」では、5年生で「ひし形、台形の面積」、6年生で「角柱、円柱の体積」が新たに盛り込まれます。ひし形、台形の面積が加わったことは、先生にとっては「指導内容が増えた」ことを意味しています。しかし、これを前向きに考えれば、ひし形の面積の求め方を学習することで、三角形や平行四辺形の面積の求め方の理解を深めることができます。また、台形の面積の求め方を、平行四辺形や三角形の面積の求め方と比較できます。つまり、一つの図形の面積の求め方を単独で学習させるのではなく、ほかの図形の面積の求め方と関係させながら学ばせるのです。
 こうした活動の充実により、ひし形や台形の面積の公式を学ぶときも、単なる暗記ではなく、公式の成り立つ理由まで理解できます。
 また、「合同」(5年生)、「対称な図形」(6年生)、「文字を用いた式の読み、書き」(6年生)、「反比例」(6年生)などが新たに盛り込まれます。これらは、現行の学習指導要領では中学校での習得事項です。中学校の教科書を読むなどして、現在、中学校でどのような指導が行われているのかを理解し、中学校への接続を意識した指導をすることが重要になるでしょう。

指導例

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